映画「トラ・トラ・トラ!」を観た。太平洋戦争の日米最初の戦闘となった「真珠湾奇襲攻撃」への経緯をテーマにした戦争映画だ。角川書店のDVDコレクションとして本屋さんに並んでいた。
愚かな総理大臣が再び現れてきてしまった今こそ、先の戦争がなぜ起きてしまったのかを考えてみなくては! といえばかっこいいのだが、実は私にとって初めて見た映画だったからだ。父親に初めて連れて行ってもらった映画館でやっていた映画なので、つい手が伸びたというのが正直なことろ。
昭和45年公開と書いてある。ロードショー専門の映画館で見た記憶があるので、私は小学3年生だった。
父親は戦争経験者で、父親の部屋の本棚には生まれ故郷である中国東北部の写真集や日米開戦の理由を考えるような本がたくさん並んでいたことを強く覚えている。
父親にしてみれば、多分、自分の子供が戦争について考えるきっかけになれば、と連れて行ったのだと思う。しかし、残念ながら私の頭の中には戦闘シーンと「トラ、トラ、トラ」と変に印象深い言葉しか残っていなかった。
で、四十数年ぶりの、大人になってからは初めての「トラ・トラ・トラ!」。
日米双方から監督を出して一方的な視点になることを避けつつ、戦争に至ってしまった経緯を詳述している。最後の場面、日本側の主人公である連合艦隊司令長官山本五十六の言葉。奇襲成功に喜ぶ周囲をよそに「眠れる巨人を起こし、(奇襲という行為で)その巨人を奮い立たせてしまっただけではないのか」。
あっ、この映画だったのか。この台詞はずっと頭のどこかにあった。が、どの場所かが分からなかった。この映画の記憶だったのか。
これまで「戦争映画」と「アクション映画」を感覚的に一緒くたにしてしまっていた。この映画は戦争映画ではなく、反戦を訴える人間ドラマだったのだ。
ここで、気付いた。
この映画は、作った人も、演じた人も、さらには見た人も、皆が戦争を経験しているのだ。
毎年、この季節になると日本国中が思い出す。経験者から学ばねば、と。
「トラ・トラ・トラ!」を観てよかった。
戦争の真実を伝えられる戦争経験者が少なくなってきたこと危惧する声が高まっている。ならば、経験者が遺してくれたものから学ばねば。
改めて、父親に感謝。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます