新春ミステリー「金魚殺生事件」

朝、わたくしの座布団に金魚の死骸が乗っていました。
頭をかじられた金魚は座布団を血で汚して横たわっています。
そんな恐ろしいことが一度ならず、二度もございました。
こんな殺生をする犯人（犯猫）は、おまけかミルコに決まっています。

しかし、おまけにはアリバイがあります。
夜、わたくしの布団に潜り込んでくるおまけは、
朝、わたくしが起きるまで布団から出ることはございません。
それにおまけは生臭い金魚には目も呉れません。

ミルコはわたくしの布団の上で寝ていますが、明け方になると姿を消します。
それに水槽の金魚を食べたという前科もございます。
たぶん、おそらく、金魚を殺したのはミルコに間違いないでしょう。

さて、金魚をどこからくわえてきたかが問題です。
我が家の魚は冬は池の底でジッとしているし、数が減ってはいないので違います。
となりの比嘉氏は金魚を飼っているので、もしかしたらと聞いてみましたところ、
「オレは家の中で金魚を飼っているし、鍵を掛けているから盗られる心配はねえ」
と、申しておりました。
ミルコの行動半径から察すると、そう遠くから金魚を持ってくることは考えられないので、
近所で金魚を飼っていそうな家を推理しましたところ思い浮かんだのが、比嘉氏のとなりのＨ氏です。
Ｈ氏は巨大なアロワナを飼っていて、その餌に活きた魚を与えているそうでございます。
たぶん、おそらく、Ｈ氏のアロワナの餌の金魚を失敬してきて、
わたくしの座布団に戦利品としておいてくれたのでしょう。

ミルコに犯人（犯猫）はおまえだろうと問いつめても、
猫の耳に念仏、猫耳東風で素知らぬ顔をしています。

こいつが犯人です！