まくとぅーぷ

作ったお菓子のこと、読んだ本のこと、寄り道したカフェのこと。

2017お座敷わかさぎ

2017-12-13 07:42:07 | 日記


天狗岩ってどうしてそういう名前なんだろうね
天狗がいるんじゃない?

って言いながら駐車場に着いたら
過去見たことないくらい混雑してて

向こうからころんとしたおじさんがやってきて
車のドアをコンコンして
「天狗岩です」って

え?あなたが?

天狗岩さんに誘導されて車をとめ
他のみんなの到着を待つ

やっと空が白んできた6時半

2年ぶりのわかさぎ釣り
1回目の爆釣が嘘みたいに
その後2回パッとせず
今日こそはまたガンガン釣りたい
手バネからリールに格上げされたし

とはいえそこは
自然相手のもの
思う通りにはいかない

ポツン、ポツンと釣れるので
なにやら釣れた人が
「ごめんなさい」っていう
おかしな雰囲気

半日かかって私が釣ったのは
わかさぎ5匹
あとは、いるはずのないカジカ2匹
そんだけ

それでもみんなのを合わせて
一人4匹くらいは
天ぷら食べられたから
まあいっか

バケツでピチピチ泳いでるわかさぎは
そのまんま天ぷら衣の中でもピチピチしてて
わけがわからないうちに油でカラリと
揚げられてしまう運命

お座敷わかさぎのいいところは
ストーブの温もりのあるドームに
あれこれ持ち込んで
釣れても釣れなくても
楽しく美味しく過ごせること
何しろ仕切りはチャブダイカフェさんだし

風は冷たいけれどおひさまはポカポカしてて
ドームの外での釣りも楽しめた

4時にお迎えの船が来て
陸に上がったら温泉を目指し
気持ちの良いお湯に浸かりながら
国際結婚の手続きなどの話を聞いたりして

日がな一日
気のいい友達とゆるゆる過ごす
しみじみ幸せだなと思う

でも
やっぱり
次こそ爆釣

釣り部の缶バッジお祓いせな

お世話になったチャブダイカフェ大将、女将にゃん
ご一緒した皆様
ありがとうございました


(写真はゆっこちゃんにお借りしました。ありがとうございます。)



じょんならん

2017-12-08 00:03:09 | 日記

四年前も
12月だった

南青山の珈琲屋
カウンターにぎっしり
座るひとも
その背後に、椅子と椅子の間を
埋めるように立つひとも

目の前のレジェンドが
まさに伝説のなかに
溶けてゆく様を
じっと見守る

大の男たちが
心のなかで
べしょべしょ泣いてるのを
眺めていた

永遠なんてものはなく
大事なことは、そこに
あるわけでもなくて

ただそこに満ちてる空気の
静かで熱かったのを
覚えてる

いや、正しくは
思い出した


白楽の駅からは
大通り一本隔てた
通称「裏六角」に
讃岐うどん屋ができたのは
6年9ヶ月前

本場で修行してきた
大将が屋号に選んだのは
「じょんならん」
かの地で「どうしようもないやつ」
を意味する方言で
育てるのに苦労した師匠の
口癖だったとか

店に掲げている師匠の
満面の笑みの写真を見ても
大将がどれほどの決意で
お店をやっていたのかが
よく解る

若いスタッフを育てながら
忙しく働いてる大将は
たいてい、いつ訪れても
マスクの下でときどき
咳き込んでた
かとおもったら
ある日は自転車で転んだとかで
立てずに厨房で腰かけたまま
スタッフを口で動かしてた

店でほかの客に話してたのが
聞こえてきた

あのやぶ医者、全然薬効かねぇよっていったら、てめぇこのやろー治す気あんのかこらって言いやがった

確かに
どんな薬飲んだとしても
休養は要るから
医者の言い分もわかる
ずいぶん口の悪いやつだけど

それでも毎日
近所の学生やOBが
アニキのように慕ってやってきて

大将は彼らを呼び捨てにして
お前ひさしぶりじゃねーか、
まいんち来いよ、
とか言っては
昨日も来たじゃないっすか
と返されていた

忘れてるわけじゃない
むしろ大将の記憶力は
すさまじくて
三年前にいちど来ただけの客でも
再訪すれば覚えてるらしい

わたしたちは家族で行くことが
多かったので
わたしは「おかーさん」って
呼ばれてた
ムスメはおねーちゃん、坂本さんはおとーさん
家族が揃わずに行くと
今度はおかーさんと、
おねーちゃんと、
おとーさんと、
来てねって必ず言われる

突然すぎる閉店のお知らせに
大勢押しかけてくるここ数日

今日なんて平日にもかかわらず
350人は来た、と

へとへとな様子の大将に
思わず
なんか手伝います?って
言ったら笑って断られたけど
お皿くらい洗えるのに

寒空の行列から抜けて
中の大将に
またあとで来ます、と声をかける
バリッとスーツのサラリーマン
おう、またな、と答える大将

あるいは、外に並んでる子に
おまえいったん家帰って
着替えてから
また来いよ、と言う
なんか塾の先生みたいだ

くたくたでも
忙しくても
オーダーさばききれなくても

カウンターのお客全員と
短くても会話してるのは

大将の、感謝と惜別の気持ち

外にいる人らを思えば
そそくさ出るしかなくて
ごちそうさま、と声をかけると

おとーさん、もう来ない?
もっかいくらい来てよ
今度はおねーちゃんと

あした、あさって、
しあさって
与えられた期間の
なんと儚いことか



南青山の38年の歴史には
くらべたらあまりに短いけれど

そのお店の
その店主の
偉大さは

お店を閉めるという
なんともいえず
辛く悲しい状況を
店主と一緒にその場で受け止め
お別れを惜しみながらも
新しい人生をはじめる店主を
そっと応援するひとたちが
どれほどいるか
で、決まるような気がする

集まるひとたちの
体温で
ひとつの終焉を
昇華させるような
そんな空気は
じょんならんも大坊に
負けてない

OL三年生くらいの
女の子が

じゃ、またね大将、
またどっかでね

と元気に言って
立ち上がるのを
眩しいような
切ないような
気持ちで
マフラー巻いた首のうしろに
聞いていた

おカネじゃないんだよね

2017-12-06 23:53:00 | 日記
うちんとこの事務さん、チラシ1万枚とかを事務所で刷ってるよ、
って同僚さんが旦那様に話したら
「それは業者に頼むべき量なんじゃないの?」って言われたそうだけど
今週に入って刷ったチラシは8万枚。
途中でリソグラフがスト起こしたらどうしようってハラハラしてた。
ザサッザサッっていう絶え間ない音を聞きながら
もう一つの仕事、パンフレットを三つ折りにして封筒に詰めるのを1200通作ってた。
素手でやってると痛くなるから、ガムテープの巻を使ってぎゅうぎゅう折る。
1時間に100が限界、のべ12時間をほぼ二人で。
時には黙々と、時にはお喋りしながらの2日間。
とりあえず終わってよかった。
普段あんまりないことだけど、今月はこういうの重なってる。

それで封筒詰めしながら後輩ちゃんが
「こないだ頼まれて某保険会社のイベント手伝いに行ったんですよ」と言う。
友達なので無下に断れずたまに参加するそうだが
行くと必ず「うちに来なよ」と勧誘されるのがうっとおしいんだとか。
「今、どんな仕事してんの?」「いくらもらってんの?」
「何時間働いてんの?」などと根掘り葉掘り。
威張れたことじゃないけどうちんとこは高額支給じゃない。
なので「じゃあうちの方が条件いいじゃん」って言われたけど
「お金じゃないんだよ。職場の雰囲気は楽しいし、子供の行事優先させてもらえるし。」
って答えたと聞いてホッとした。

下のお嬢さんがもう少し大きくなったら、フルタイムで働けるし
私もあと5年くらいめどに少しずつリーダーの仕事譲らなきゃだし。
その頃のうちの事務所のボスはOさんだと思うから
あれこれサポートしてあげてね。
なんて言ったら困った顔して
ずっといてくださいよ不安だから、と言う。
K顧問みたいに定年過ぎてもいたらいいじゃないですか、とか。

さっさとやめなよって言われるよりはもちろん嬉しいけど
そんなわけにはいかないし
営業さんもどんどん年齢層が下がっているから
やっぱり私がするべきことは
事務の流れがガタガタすることなく次の人へ渡すこと。
よそから高額の報酬をチラつかされても
「でもこっちの方がいいんだよ」って
思える環境を守って継いでいくこと。

事務仕事なんて誰にでもできる
誰にでもできるように整ってる必要がある
といつも思ってるんだけど
最近忙しさにかまけてゴタゴタしてるから
もう一度ちゃんとチェックしなきゃ。

そんな師走の1日。

チャブダイ活カニ

2017-12-04 22:52:25 | 日記


シューショク決まったらカニおごっちゃる
という大将の言葉にムスメが大喜びしたのが夏の前のこと。

巨大なニンジン、じゃない、赤いは赤いけど
もっとゴツゴツワシャワシャしたやつをぶら下げて
爆走した熱い夏を経て
無事に採用してくれるところが見つかったのが9月。

そして本日
はるかロシア海域に接した北海道の海から
2キロを超えるタラバさまがお出ましに。

発泡スチロールの中で窮屈そうに足をかがめ
顎から生えてるちっさな足をコチョコチョ動かしてる。
ビニールの切れっぱしを口元にフラフラさせると
迷惑そうに目を伏せて顎を引っ込める。
シンメトリーな造形がとても美しく
眺めていて飽きない。

普通ならこのサイズのカニを
生きたまま仕入れるなんて大変なことであるらしい。
今回は大将の持ってる特殊なルートにより入手。
本当にありがたいことです。

大鍋に湯を沸かし、タオルでカニをつかんでドボン。
ごめんね。お命いただきます。
待つこと20分。



殻が見事な朱色に染まってる。
私はひたすらハサミで殻を切る。
ムスメはひたすら食べつつ
私や大将やおかみにゃんにも配る。
ふわっとした身、滴るエキス。海の香り。
な、なんだこれは。(カニです。)

そんな私たちを横目で眺めつつ
大将は賄いのチャーハンをこしらえる。
カニチャーハンじゃなくてカニカマチャーハン。


でもそこにカニ味噌かけて食べると
もうそれは完全にカニチャーハンだ。
美味しくてレンゲが止まらない。

わざわざ貴重なお休みを使って
こんな素敵なお祝いをしてくれる
大将とおかみにゃんに
心から感謝。
ありがとうございます。

家で待つ家族にお土産弁当を作ってもらって
帰宅する途中ムスメはずっと
「カニって美味しいね。知ってた?来週も食べる?」
と言ってた。
いくらシューカツ頑張ったからって、毎週は無理ですよ。

家に着いてからタラバ漁のことを調べてみたら
オホーツクで諸外国と小競り合うのが嫌なロシアが
シベリア鉄道に乗せてカニをノルウェー側の海へ放流したところ
天敵が無く繁殖しすぎて環境を破壊しかねないため
駆逐対象にしようとするエコ団体と
いやこれは捕獲して日本に売れば儲かるぞという企業とが
ごちゃごちゃしてるらしい。

ムスメよ、次に赴くべきは
ノーウェジアンシーだ。

12月のフランス菓子研究所♪ビッシュオプラリネ

2017-12-02 16:27:08 | お菓子作り


クリスマスには薪を作ります。
なぜって言われてもそういうことなので仕方ありません。
これまでに作った薪は
シャンパン、フレーズ、ショコラ、マングー、シトロン、テ(紅茶ね)
そしてとうとう万策つきました。
もうあれに手を出すしかない。
どうしよう。でも他にはないし。でも大変なことになるし。
ええいままよ行ってしまえ〜、と
師匠が思ったのかどうかはわかりませんが
今年は「プラリネ」様参上です。

何が大変って仕込みが大変なのですよ。
だからまあ作る私たちはそんなでもないです。
ただ注意しなければならないのは
迂闊な発言。

何しろ試作が始まった頃から師匠のFBが荒れ
初日のFBには試食の後別件で立ち寄った会員さんが
「美味しかったですか」って聞いただけなのに
「そういう問題じゃないです」って返事したとか
書いてあるのですもの。

それだけ疲弊してしまう準備を要するお菓子なのです。


使う器具の山が険しいことったら。

しかし一番ビビったのはレッスン開始前日に
一斉配信メールで
「長丁場です。軽食用意するといいかも。」という案内が
師匠から入ったこと。
10年やっててそんなこと言われたの初めて。
思わず深夜にちまちまとちっこいおむすびに辛味噌つけて焼いちゃいましたもの。
焼きながら前日のレッスンを終えたMさんにメッセして
申し送りありませんか、って聞いちゃいましたもの。

Mさんのお返事
「目の前のことを一個一個片付けていけば
 やがて到達する」
というようなことで、深夜に一人大きくうなづいたのです。

そんな、遭難覚悟で臨んだ山でしたが
えっと、誤解を避けず言いますと
思ったほど大変ではなかったです。
もちろん試食まで4時間は費やしましたけど
意識遠退くことはなく。

工程はいつもの通り
ビスキュイを焼き、型に合わせてカットし、
ポンシュ打って冷やし、中のババロアズを作り
流したらもっかい冷やし、
外のムース(これはクレムシャンティショコラではなかった)
を作り、塗って仕上げる。

いつもと違うのは、ババロアズの中ほどに
クレームオブールとプラリネを塗ったビスキュイを
埋め込むこと。

この埋め込んだやつの存在感があんまりなくて
師匠は「これ作った時のトオルちゃんちょっとフツーじゃなかったんじゃない?」
と推測。
トオルちゃんのお菓子創作年表、見てみたいなあ。
「あーこの時代はやばいねー」「このへんはちょっとフツーだね」とか。(失礼)


いつものように出来あがったら師匠がチョコプレートをくれます。
好きなのいいよ、というので選んだんだけど
みんなに
「ちっさ」って言われました。


こちらはヒロコさん作。おさすが。美しい。


リッチすぎるケーキなので2センチカットで食べるのが良いそうです。
でもカットもなかなか難しいらしい。
最後まで油断を許さないケーキ。

ジョコンドのココナツの歯触りやパインの香りがトロピカルで
アーモンドプラリネはカリカリ甘くて
キャラメルの香ばしさが素敵なお菓子です。
みんな、美味しい美味しいって食べましたが
師匠が「家で作る?」って聞いたら
うーーーん。。。

イベントでみんなで作るんならいいかもね、ということで落ち着きました。
一台のためにプラリネとか、よう作らん。


「ちっさ」なプレートだけじゃあね、と思って色々乗っけてみました。どうかな。

こういう手間暇かかるお菓子を作るのは
作らなきゃ食べられないものだからってことはもちろん
結局のところ、手間暇かけてお菓子作るのが好きだから。
一切れのケーキの向こうにある、仕入れとか計量とか仕込みとか製作とか組み立てとか片付けとか
そんな膨大な時間や労力を想像できて、ありがたいなと思える人は同志だって師匠は言います。

ま、そんなわけだから
MF会員の家族の皆さんは、今月は特に
ケーキはもちろん召し上がっていただきますけれど
その際作り手の熱い語りをちゃんと聞いてくださいね。
うっさいな、とか思わないでね。

そうそう、例の震え上がった一斉配信ですが
「みんな届いたー?よかった〜。
メール配信システムを新しくしたから
テストしてみたかったの。」

って。
そんだけ?
そんだけなのか?