タイトルは「傘寿」である。30と似てるけど違うよ。80歳のお祝いのことだ。こないだパパが「米寿お祝いありがとう」って言ってたけどそれは88歳ね。まだちょっと早いから待っとけ。
明日めでたく80歳になるのは我らが義理パパである。「ゆっこちゃんのケーキだよね」と夫は言うが、たまたま明日はわたしのフランス菓子のレッスンなので、りんごのタルトをホールでお持ち帰りなのだ。40日くらい前まで住んでいた万年飢餓女子が居るなら良いけど、今このお家にホールケーキが2個同時にあってもちょっと困る。え、わたし、今、困るって言いましたか?信じられない。ケーキがたくさんあって困るなんてシチュエーション、我が身に起きるとは思わなかったよ。って、いや待て、落ち着け、だからゆっこちゃんのケーキはまた今度なのだ。とりあえずりんごのタルトだ。
何々、色味がちょいと地味すぎやしませんか、って?わかった、ならばしょうがない、カラフルなクッキーでも飾ってやろうじゃないか。何しろなんちゃってアコルネ会員なのだ。アイシングクッキー なんて朝飯前、いや、今は夕飯前なのでとりあえず生地まで仕込んで夕ご飯終わったら型抜き、焼いて冷めたら色塗りだ。
そういえばパパの80歳のお祝いの時にはアコルネさんで素敵なクッキーを作って、あまつさえ神奈川新聞に掲載までしてもらったんだったよ。今回はメディアの取材はないが、勘弁してくれ。あと、色のバリエーションもあの時の半数くらいにしかならないと思うが許してほしい。何しろ我が家にあこちゃんは居ないのだ。ひとりで頑張る。
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と言うことでクッキー生地の材料はこちら。バター、粉砂糖、卵黄、ヘーゼルナッツパウダー、薄力粉、BP。
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使う道具はこんな感じ。バールが5mmなので仕上げは少し薄めにする。
バターは柔らかくする必要があるが、溶かしてしまってはいけない。なので、こんなふうに薄く切ってボウルに貼り付けるみたいにしてしばし待つ。
かつて師匠が子供の教室で「バターを溶かしちゃったらいけません。それは違うものになります。」とおっしゃった時、子供の一人が「何になるの?」と聞いたら、「溶けたバターになります。」と大いばりで答えられたのだ。ふーん。。。。ん?という空気も何のその、そのままレッスンは続いたのだった。
そういえば有名な絵本で、虎がグルグル高速回転してるうちにバターになる話があるけれど、そいつらは多分前の日に牛をたらふく食べて胃の中に牛乳がじゃぶじゃぶしていて、それが回転してるうちに攪拌されて脂肪が分離して、それ以外のもの全てが遠心力でジャングルにぶっ飛ばされた、ってことなんだろう。
そうそう、よくバターを柔らかくするレシピの時に「ポマード状」って言ってたじゃん。もうそれ死語なんだよね。何歳まで通じるんだろうな。そしてちょうど良い代わりの表現が今のところ見つからないっていうね。
砂糖には様々な種類があるが今回使うのはパウダー状のもの。市販のものには2種類あって、湿気ないようにコーンスターチなどが混ざってるタイプと、100%ピュアな砂糖。わたしはそんなに拘りないけど、あこちゃんは純粉糖を使うって言ってたよ。そっちの方が美味しいのは間違い無いと思う。アイシングにも使うからたっぷり用意。
卵は全卵を溶いて使うってレシピにあるけど後でアイシングに卵白を使いたいので卵黄だけで。リッチな配合。さらに今回は横須賀の直売所で仕入れた美味しい卵使用。
前にも書いたけど、日本の鶏は餌に魚粉が混じってるので卵が魚くさいんだってさ。なのでとうもろこしとかを食べてるフランスの鶏の卵を使ったフランス菓子を同じ様に日本の卵で作ろうとすると色々と難しいらしい。例えば加熱する時、フランス卵ならステンレスボウルで炊いても問題ないけど日本卵は匂いがキツくなるからガラスボウルで炊く、とかね。
とかいう拘りを見せるのがうちの師匠の師匠、弓田享様なのだ。明日作るタルトには彼の名前の頭文字がついてるので、今から少しドキドキする。美味しくなかったらがっかりだぞ。いやお前がな。はい。
そして同じくレシピにはアーモンドパウダーとあるんだけれどたまたま切れてたので代わりにあったナッツの粉を使う。これもリッチ度が上がっちゃうやつ。ヘーゼルナッツ党があったら加入したい。大好き。フランス語ではノワゼットと言う。お洒落な響きを聞くだけで涎が。
ベーキングパウダーはほーんの少しなので、これって意味あるか?と思うんだけど、これがあるから火抜けが良くなるんだよね。入れないで作ってみると違いがわかる。お菓子は繊細だ。化学だ。今回はちゃんと入れる。微量計は持っていないので、100均で売ってる計量スプーン1.25mlで半量計る。すり切って真ん中に線入れてポイ、ね。
作り方は簡単、バターを柔らかくして砂糖3回に分けていれて卵も3回に分けていれて、ヘーゼルナッツパウダー一度に入れて、粉類をふるって2回に分けていれて。とにかくなんか入れたら必死に混ぜる。混ぜまくる。そしてラップに包んでしばし冷蔵庫でお休みする。なぜお休みするかっていうと、今はまだお互いがよそよそしいからである。とあるミュージシャン様が「前打ち」っていうのをやるって言ってて、それは何かというと初めましての演者さんらをリハの後集めて本番前に飲みに繰り出す(本番前の打ち上げ)、ってやつで、そうやって仲良くなったところで本番やると、とてもいい感じのライブになるんだって。クッキー生地も今頃冷蔵庫で、「初めまして。バターです。」「あ。砂糖です。よろしく。」「どうもどうも、ヘーゼルちゃんでーす。」とか言って仲良くなってるところである。この日記書いてギター弾いて夕ご飯作って食べたらちょうどいい具合じゃないだろうか。
あとは扉絵に完成したクッキーの写真を貼って、記事公開を今日中に。
おしっ、間に合ったぜ。