オーディブルで、研修医が外科医として成長していくという、長いシリーズの小説を聴いていた。
その中で、その研修医が、死に瀕する幼い少年の姿に涙するシーンがある。
そこで突然、記憶の蓋が開いた。
遠い昔に、幼子が、絶望的な病で長い入院をしていた時のことである。
その日、私はその幼子を抱いて、廊下の窓から遠くを眺めていた。
そこには小さな公園があって、子どもたちがたくさん遊んでいた。
別世界のような風景だった。
ふと気づくと、廊下の向こうから担当医の先生が歩いてくる。
院生だそうな。
目があって、少し話す。
あそこで一緒に遊びたいね、って言ってたんです。
返事がない。
先生の顔を見上げると、目に涙が滲んでいた。
そのまま先生は、ちょっと頭を下げて行ってしまった。
それを見た私は、ああ、この子は助からないんだな、と思ったのだった。
場面は変わる。
今度は、教授回診の1コマだ。
ベッドの周りに沢山の医者達が集まっている中で、何度も「ユーイング」という言葉が聞こえてきた、「決まりだね。」とか、「99%ね。」とかいう声も。
すると、その若い先生が声をあげた、「いえ、まだ・・・な可能性があり・・・で」と。
話の内容は分からなかったが、今度は私が落涙した、戦ってくださっていると思ったのだろう。
あの先生は今頃どうなさっているんだろう。
名前も覚えていない。
それにしても、こんな大切なシーンを何故忘れていたのか。
その先生の仰った通り、幼子は手術をして『99%』をくぐり抜け、1%の側にたどり着いた。
今は遠くで元気に暮らしている、とても、とても、ありがたいことに。
・・・だなんてセンチメンタルになる深夜。ww
(センチメンタルとは程遠い子、足が太短いね。ww)
高崎市の行方不明猫『まめちゃん』です。