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旅の友・ポップス編 (215) 『ローマの秋』

2017-09-11 14:14:02 | 旅の友・ポップス編

『ローマの秋』 ペギー・リー
”Autumn in Rome” Peggy Lee 【YOUTUBEより】


『靴みがき』『自転車泥棒』『ミラノの奇蹟』などのイタリアン・リアリズム作品で一躍世界に名を轟かせた
ヴィットリオ・デ・シーカ監督が1952年に制作したアメリカ映画『終着駅』の主題歌です。
映画はデ・シーカにとって初のメロドラマでしたが、夕方に駅に着いてから列車が発車するまでの一時間半の
出来事と上映時間を一致させた手法(同年のフレッド・ジンネマン監督の『真昼の決闘』と同手法)を用いて
駅構内の喧騒の中、主人公たちの愛の苦悩をリアリズム溢れるドキュメント・タッチで描き上げています。
ただデ・シーカは、悪名高きデヴィッド・O・セルズニックというプロデューサーの資本でこの作品を撮ったことが
災いして、リアリズムの内面化が風俗化に傾き、さらにその後にハリウッドを真似たスター・システムの採用などの
ハリウッド型資本主義に対髄、その結果、覇気のない娯楽性の濃い艶笑作家に成り下がってしまいました。

主題歌『ローマの秋』の作曲者は初期のデ・シーカ作品群の音楽を支えたアレッサンドロ・チコニーニで、
映画でも冒頭のタイトル・バックで彼の演奏が流れています。
アメリカでは映画公開にあたり、ポール・ウェストンが編曲し、サミー・カーンが英語詩をつけペギー・リーが
唄ったレコードがこの映画の主題歌として大ヒットしました。

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1962年のリヴァイヴァル・ブームで『陽のあたる場所』との二本立で鑑賞したのを思い出します。