『日曜はダメよ』 メリナ・メルクーリ
”Ta Paidia Tou Peiraia” Melina Mercouri 【YOUTUBEより】
『日曜はダメよ』 ドン・コスタ楽団
”Never on Sunday” Don Costa and His Orchestra 【YOUTUBEより】
1960年制作、ジュールズ・ダッシン監督による同名のギリシャ映画の主題歌です。
映画はギリシャの港町を舞台にした人間謳歌で、娼婦ながらも陽気に生き生きと輝く主人公イリアの生命の躍動を
描いています。自由の制限で型に嵌った現代への批判は大いなるアメリカ批判なのかもしれません。
主題歌の”Ta Paidia Tou Peiraia”はマノス・ハジダキスの作詞・作曲によるものです。ハジダキスは戦争でトルコから
ギリシャに引き上げてきた移民たちの民謡「レベティカ」の影響を受けてこの曲を作ったといわれています。ブズーキを
使った軽快なトレモロによるこの曲は映画公開と同時に大ヒット、ビリー・タウンの英詩による”Never on Sunday”
も瞬く間に世界中に知れわたりました。
日本でも【今週のベストテン】においては、ドン・コスタ楽団の演奏で1961年1月の最終週に初登場し5月第2週まで
15週連続でベストテン入りを果たしています。(最高2位)
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2014-06-16 映画音楽史(156)『日曜はダメよ』1961年公開
この映画を監督したジュールズ・ダッシンは、『真昼の暴動』『裸の町』などでドキュメンタリー風なタッチで脚光を
浴びたものの、赤狩りの嵐によってヨーロッパに活躍の場を求めることになります。イギリスで一作撮った後に
1955年にフランスに渡ってフィルム・ノワールの『男の争い』を監督、30分にも及ぶ宝石泥棒のシーンをドキュメント
タッチで描写しその演出力が高く評価されました。続いて1957年にはこれまでのギャング物から一転してギリシャの
文豪ニコス・カザンツァキ原作の『宿命』を映画化、1959年にはコルシカ島の古い因習の「掟遊び」を題材にした
『掟』において息苦しいほどの濃い人間関係の対立を描き切りました。
その後ギリシャに渡ったダッシンはメリナ・メルクーリと出会って『日曜はダメよ』『死んでもいい』を監督しています。
ヨーロッパからアメリカに渡って失敗した映画監督は山ほどいますが、逆にジュールズ・ダッシンはアメリカから
ヨーロッパに渡って成功した数少ない監督でした。