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旅の友・ポップス編 (308) 『若者のすべて』

2017-12-14 13:44:22 | 旅の友・ポップス編

『若者のすべて』 ニーノ・ロータ楽団
”Rocco Ei Suoi Fratelli” Nino Rota Orchestre 【YOUTUBEより】


1960年制作、ルキノ・ヴィスコンティ監督による同名のイタリア映画の主題歌です。
映画はイタリアンリアリズムの先駆者の一人であるヴィスコンティ作品で、成功を夢見てミラノにやって来たイタリア
南部の貧しい家族が都会での残酷な現実を思い知るさまと、戦後の復興を遂げる過程で繁栄都市と地方の格差をも
正面から取り上げながら、家族の崩壊を格調高い構成で描き切った力作です。
この作品はイタリアン・リアリズムの集大成的大作ともいわれ、ヴィスコンティの特徴でもある唯美的で背徳的、そして
退廃的な風潮が顕著に表れたいわゆるデカダンス作品でもあります。

主題歌の『若者のすべて』はニーノ・ロータの作曲で、ロッコとナディアの運命を暗示した二曲がメインテーマとして
構成された交響詩となっており、ヴィスコンティ作品の中でも数少ない映画のための主題歌です。
日本では【今週のベストテン】において1960年12月の最終週に初登場し翌年1月第4週までベストテン入りを果たして
います。(最高7位)

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ルキノ・ヴィスコンティは、貴族出身の公爵でありまた共産党員でもあったことから「赤い公爵」と呼ばれたこともあり
その映画製作スタイルも他の映画作家と一線を画す特異な存在となっています。
まず、映画の自由を束縛していたファシスト政権下において、1942年に最初のイタリアン・リアリズム作品といわれる
『妄執』(Ossessione)を発表、原作は『郵便配達は二度ベルを鳴らす』なのですが映画化権の許諾を得ておらず、また
そこに描かれたイタリア庶民の困窮さが反ファシズム的な内容でもあることから即座に上映禁止となっています。
1948年にはイタリア共産党の資金援助を得て、シチリア島の漁民一家の辛苦の日々をドキュメンタリータッチで描いた
イタリアン・リアリズムの代表的作品『揺れる大地』を発表しています。
1954年にはメロドラマ風に描いた『夏の嵐』においてロマンチシズムとリアリズムの融合を試み、1963年にはヴィスコンティ
自身をモデルに重ねた『山猫』で貴族の愛憎と没落を重厚かつ耽美的に描いています。
彼の作風としては単なるペシミズムに陥らず現状否定を基点とし、常に家族の悲劇・人間の崩壊をテーマとしています。