港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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シネマ・ポップス…ときどきイラスト

『エル・パニュエリート(白いスカーフ)』 ファン・デ・ディオス・フィリベルト楽団

2017-01-20 12:04:03 | アルゼンチンタンゴ

”El Pañuelito” Juan De Dios Filiberto



この曲はファン・デ・ディオス・フィリベルトが作曲、ガビーノ・コリア・ペニャローサが作詞した日本でも好まれた古典曲です。
『カミニート』でおなじみの叙情派フィリベルトが1917年に『アイロンかけの娘』というタイトルで書き下ろしたものをペニャローサの
作詞を得て『エル・パニュエリート』というタイトルで1920年に発表されています。
日本では『白いスカーフ』や『白いハンカチ』という邦題もありますが原題の『エル・パニュエリート』で通っているようです。
歌詞の内容としては、私の髪の毛を刺繍してあなたに贈った白いハンカチが惜しげもなく捨てられて私の希望は失せた、
という少女の失恋の心情を綴っています。

El pañuelito blanco
Que te ofreci
bordado com mi pelon
fue para ti
Lo has despreciado
Y en llanto emparado lo tengo ante mi

↓はファン・デ・ディオス・フィリベルト楽団の『エル・パニュエリート』 YOUTUBEより




『アディオス・コラソン』 フルヴィオ・サラマンカ楽団

2017-01-19 17:19:00 | アルゼンチンタンゴ

”Adios corazón” Fulvio Salamanca



この曲はエクトル・サペッリが作詞、ラロ・エチェゴンセライが作曲した新しい感覚の歌謡タンゴです。
タイトルを直訳すれば「さらば愛しき人」ということなのですが、別れの曲ではなく、愛しい女性にめぐり逢って恋が芽生えたことを
謳っており、彼女も Hasta mañana, corazón ! と囁いています。( Hasta mañana は明日会う予定がある人に使う挨拶 )
これを書いたサペッリとエチェゴンセライは共にウルグァイの人物で、モンテヴィデオで流行し、やがてアルゼンチン全土に広まり
ました。
タンゴといえばアルゼンチンと思いがちですが、ウルグァイもタンゴがとても盛んです。
前日の『フェリシア』を作曲したエンリケ・サボリード、『ラ・クンパルシータ』を作曲したエンリケ・マトス・ロドリゲス、さらには
「タンゴの王様」と称されたフランシスコ・カナロ、他にも幾多のウルグァイ人がタンゴにかかわっています。
ウルグァイの首都モンテヴィデオもラ・プラタ河岸の風光明媚な港町で、ブエノスアイレスのほぼ対岸に位置しており、物流や
文化交流も多く、人的交流も非常に密接です。
タンゴはアルゼンチンのものというより、「ラ・プラタ河下流域の音楽」と理解したほうがよさそうですね。

Adiós corazón. te decian los muchachos.
Adiós corazón. aquel dia dije yo.
Y comenzaste a sonreir porque la frase te agradó
y por las calles te segui diciendo asi, con emoción
Adiós corazón. si usted quiere conversamos
soñé con su amor. quiero ver qué hay de verdad.
Y mi presencia te turbó quedaste casi sin hablar
cuando dijiste con tu adiós: Hasta mañana, corazón!

↓はフルヴィオ・サラマンカ楽団の『アディオス・コラソン』 YOUTUBEより

唄っているのはアルマンド・ゲリコです。


『フェリシア』 キンテート・ピリンチョ

2017-01-18 16:05:55 | アルゼンチンタンゴ

”Felicia” Quinteto Pirincho



この曲はエンリケ・サボリードが作曲、フアン・ミゲル・ヴェリッチが作詞した古典曲で、1908年にダンスサロンでサボリードが
ピアノソロで初演しており、そのサロンの客の中のフェリシア・イラレーギの名をとって題名にしたといわれております。
失恋の悲しみを綴った歌詞がついていますが、唄われることは殆どなく楽団演奏曲として定着しています。
古典曲ですので幾多の名演がありますが、今日はキンテート・ピリンチョで取り上げることにいたしましょう。
このキンテート・ピリンチョはフランシスコ・カナロの小編成による五重奏団で、ピリンチョとはカナロの仇名です。

↓はキンテート・ピリンチョの『フェリシア』 YOUTUBEより


以前にこれと同じレコードを持っていました。YOUTUBEでは聞き取れませんが、アナログ・レコードで聞くと、バンドネオンの
空気を抜く音まで聞こえていて、目の真ん前で演奏しているような臨場感に感激したものでした。

『ダンサリン』 アニバル・トロイロ楽団

2017-01-17 17:18:27 | アルゼンチンタンゴ

”Danzarin” Anibal Troilo



この曲は1958年にまだ無名であったフリアン・プラサが作曲したもので、当時のタンゴ界で異例の近代的タンゴと絶賛され
わが国でも広く親しまれました。
作者のフリアン・プラサはエドグァルド・ドナート、ミゲル・カロ、オスヴァルド・プグリエーセなどの楽団でバンドネオン奏者として
活躍、また曲風からしておそらくアストル・ピアソラの影響を受けているように思われます。
タイトルの”Danzarin”はダンサーのことで、日本では『踊り子』と訳されていますが、”Danzarin”は男性のことを指す言葉なので
女性をイメージする『踊り子』はどうなのでしょうか。

↓はアニバル・トロイロ楽団の『ダンサリン』 YOUTUBEより



『エル・マルネ』 トリオ・シリアコ・オルティス

2017-01-16 16:34:53 | アルゼンチンタンゴ

”El Marne” Trio Ciriaco Ortiz



この曲は「バンドネオンの虎」と呼ばれたエドゥアルド・アローラスが1922年(一説では1919年)に発表した曲で、タイトルの
『マルネ』は第一次世界大戦の激戦地だった南フランスの地名です。アローラスがキャバレー「ボタフォコ」に在籍していた頃の
作品で彼の親友でもあったロベルト・フィルポが初演したといわれています。
また、この曲の名演としてはファン・ダリエンソが有名ですが、個人的にはシンプルでバンドネオンの息づかいを肌で感じることが
できるトリオ・シリアコ・オルティスを推奨します。
シリアコ・オルティスは1930年代を代表するバンドネオン奏者で、オルケスタ・ティビカ・ヴィクトルなど有名どころのトップ奏者
を歴任したのちトリオ・シリアコ・オルティスを結成して独自の世界を切り開いています。

↓はトリオ・シリアコ・オルティスの『エル・マルネ』 YOUTUBEより



名演といわれたファン・ダリエンソ楽団の『エル・マルネ』も貼っておきます。

”El Marne” Juan D'Arienzo

↓はファン・ダリエンソ楽団の『エル・マルネ』 YOUTUBEより