港町のカフェテリア 『Sentimiento-Cinema』


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『禁じられた遊び』旅の友・シネマ編 (10) 

2018-07-26 13:59:03 | 旅の友・シネマ編



『禁じられた遊び』 Jeux Interdits (仏)
1952年制作、1953年公開 配給:東和 モノクロ
監督 ルネ・クレマン
脚本 ジャン・オーランシュ、ピエール・ボスト、ルネ・クレマン
撮影 ロベール・ジュイヤール
音楽 ナルシソ・イエペス
原作 フランソワ・ボワイエ 「木の十字架・鉄の十字架」
主演 ポーレット … ブリジッド・フォッセー
    ミッシェル・ドレ … ジョルジュ・プージュリー
    ドレ家父親 … リュシアン・ユベール
    ドレ家母親 … スザンヌ・クールタル
    ベルテ・ドレ … ロランス・バティ
    ジョルジュ … ジャック・マラン
    フランシス・グーアル … アメデー
    司祭 … ルイ・サンテーブ
主題歌 愛のロマンス (Romance de Amor) ギター演奏・ナルシソ・イエペス



第二次大戦下のフランス、ドイツ軍の機銃掃射で両親が被弾し、戦争孤児になった五歳のポーレットは愛犬の屍を抱いたまま
森の中をさまよっているうちに農民のドレ家の少年ミッシェルに出会いそこに引き取られる。やがてドレ家の家族に可愛がられ
一家に溶け込んでいく。ポーレットはミッシェルに愛犬の屍を土の中に埋めてもらったことからいろんな動物の墓づくりをはじめ、
ミッシェルは墓には十字架が必要だと言って霊柩車や教会から十字架を盗み出し、二人だけのお墓遊びが始まった。しかし、
あちこちの十字架がなくなる不審な事件もミッシェルが犯人だと知れて父親からそのありかを問い詰められるがミシェルは口を
割らなかった。翌朝、ドレ家に憲兵が訪れてミシェルの必死の懇願にもかかわらずポーレットは孤児院に引取られることになる。
ポーレットは混雑する駅の中で「ミッシェル」と叫ぶ声を聞くと、ミッシェルの名前を叫びながら雑踏に呑み込まれていく。



この作品は、戦争孤児になった少女と農家の少年の純心な交情を綴ったフランソワ・ボワイエの原作小説の映画化で、
ルネ・クレマン監督は子供たちの純粋さを通して戦争の悲惨さを訴え、ほのぼのとした農村の牧歌的な雰囲気の中に強烈な
冷酷を秘めることでより一層の悲哀を訴え、反戦映画の金字塔と称される傑作に仕上げました。
特に直接的な戦争シーンを避けて、無垢の少女の眼を通して戦争の悲劇を表現し、詩情豊かに反戦を訴えています。
そしてボーレットの本当の悲劇はこれから始まるという残酷なラストシーンに反戦の意思を集約しています。
絵画的な画面作りのために数多くの複写を取り寄せて光と影による明暗の効果を再現したといわれる映像構成も見事です。



映画のラストシーン 【YOUTUBE】より


また、主題歌の『愛のロマンス』はナルシソ・イエペスのギターがしっとりと哀愁を漂わせて最大限の効果を上げていました。

『愛のロマンス』 ナルシソ・イエペス 【YOUTUBE】より


  *****

「旅の友・シネマ編」途中報告

私が選んだトップテンは以下のようになりました。
(皆様方とはかなりズレていると思っています)

①野いちご (瑞) イングマール・ベルイマン
②8 1/2  (伊) フェデリコ・フェリーニ
③処女の泉 (瑞) イングマール・ベルイマン
④情事 (伊) ミケランジェロ・アントニオーニ
⑤嘆きのテレーズ (仏) マルセル・カルネ
⑥甘い生活 (伊) フェデリコ・フェリーニ
⑦第七の封印 (瑞) イングマール・ベルイマン
⑧自転車泥棒 (伊) ヴィットリオ・デ・シーカ
⑨オルフェ (仏) ジャン・コクトー
⑩禁じられた遊び (仏) ルネ・クレマン

ここで、改めまして私の個人的な映画観を示しておきます。

基本論として映画の本質は映像表現です。
私の評価は芸術の基本要素である『技術・思想・創造力』に準じて『映像美学・魂の叫び・映像表現』に重きを置いています。
それら三つの要素で仕上げられた映像が媒体となって鑑賞者の心を揺り動かすことのできる映画を求めています。
すなわち、オリジナルな映像美学によって、作者(監督)が何をどのように訴えたいのか、そして時空を利用したそ映像を
用いてその感覚をいかに表現することができたか、ということに尽きるということです。

私にとって映画はストーリーを観るだけものではありません。
ストーリーをもって映画を評価するなら、映画になる以前にシナリオでその価値が決まってしまうことになります。
また、アメリカ映画に代表される物語中心で起承転結が明確でなおかつ勧善懲悪、とどの詰まりは正義の押し売り、
スターをヒーローに仕立て、お涙頂戴でハッピーエンドというパターンにはどうしても【映画】としての価値を見出せません。

この後も「旅の友・シネマ編」を続けますが、私の独断と偏見によって上述のように選定しておりますので、皆様のご期待に
沿えないかもしれませんが、ご容赦いただけますようお願いいたします。


本日の日替わりメニュー(33)

2018-07-25 14:02:39 | 本日の日替わりメニュー

『太陽は燃えている』 ロマンチック・ストリングス
”Cuando Calienta El Sol” Romantic Strings Orchestra   【YOUTUBEより】 



原曲はマリオ・イグアルが作詞、カルロス・リグアルが作曲したキューバ産のラテン・ナンバーです。
日本では1962年にイタリアのグループ、ロス・マルチェロス・フェリアルが唄って小さなヒットとなりました。
後年の1971年にエンゲルベルト・フンパーディングでリヴァイヴァルされています。
タイトルの”Cuand calienta el sol”は「太陽が暑いとき」という意味でこれまた熱い恋唄となっています。


これ以上太陽に熱く燃えてほしくないのですが…

本日の日替わりメニュー(32)

2018-07-24 10:41:02 | 本日の日替わりメニュー

『暑い夏をぶっとばせ』 ナット・キング・コール
”Those Lazy Hazy Crazy Days Of Summer” Nat King Cole   【YOUTUBEより】 



原曲はドイツの”Du Spielst 'ne Tolle Rolle”で、1962年にハンス・カルステが作曲、ハンス・ブラッケが作詞した楽曲です。
これにチャールス・トビアスが1963年に英詩を付けてキング・コールがレコーディング、全米6位のヒットになりました。
また、日本の【今週のベストテン】では1963年の8月に一度だけ10位にランクインしています。
タイトルの”Those Lazy Hazy Crazy Days Of Summer”は、だるくて、かすんで、狂った夏の日々ということなのですが、
そんな暑さに負けないで元気出してパァーーッと唄って遊ぼうよ、と綴っています。

Roll out those lazy, hazy, crazy days of summer,
Those days of soda and pretzels and beer.
Roll out those lazy, hazy, crazy days of summer,
Dust off the sun and moon and sing a song of cheer.

Just fill your basket full of sandwiches and weenies.
Then lock the house up, now you're set.
And on the beach you'll see the girls in their bikinis,
As cute as ever but they never get 'em wet.

ただ、未成年も聞いたり唄ったりするわけですからビールを歌詞の中に織り込んではダメですよね。
ついでに一言、
昼間やゴールデンタイムのテレビに酒・ビールのコマーシャルを流すのは禁止にしましょうよ。

暑中お見舞い申し上げます

2018-07-23 10:59:11 | 独り言

今日 7月23日は【大暑】

暑中お見舞い申し上げます。
 というよりも、今年は
猛暑お見舞い申し上げます。
  あるいは
酷暑お見舞い申し上げます。
 と言った方が良いのかもしれませんね。

7月23日は二十四節気の一つである【大暑】にあたります。
暦の上で一年のうち最も暑い時期ということです。

それにしても暑い日が続いています。
熱中症、熱射病に気を付けてお体大切に。
お互いに元気でこの酷暑を乗り切りましょう。

そういえば、私たちの子供の頃は…
夏休みの炎天下でも子供たちは屋外で走り回って遊んでいました。
大人たちも、蒸し風呂の暑さの中の事務所や工場で汗水垂らして必死働いていました。
当時は夏を乗り切る文明の利器もありません。
クーラー、エアコンはもとより扇風機すらない時代でした。
当然、電車、バス、自動車などすべての乗り物にはクーラーもなく窓を開放することで風で涼を得ていました。
天然の氷の塊で冷やす冷蔵庫があったようですがもちろん電気製品ではありません。
夜になると、町内のおじさんたちが団扇をあおぎながら縁台で将棋をはじめ、戦時中の武勇伝を語り合っていました。
就寝時は窓も玄関も開けっぱなし、室内には蚊取り線香の煙、そして吊るされた蠅取り紙。
それでも、文句言わずに暑さを堪え凌いだものです。

現在では、家庭、商業ビル、工場、そして乗り物もすべてがエアコンで温度管理がされています。
暑くなると温度を下げて快適な生活が保たれるようになりました。
これが大いなる過保護につながったのかもしれません。
いつの間にか、過保護によって人間の体質に大きな変化が生まれたようにも思えます。
暑くなるとエアコンによって暑さをしのぐのが当たり前となり、
暑さに耐えるのではなく暑さから逃げるという方法をとることによって
本来の人間の持つ肉体防衛本能が徐々に破壊されていって
暑さを我慢することができないという虚弱体質になってしまったのでしょうか。
わずか半世紀の間に人間は文明の利器によって過保護に
されてしまったと思えてなりません。

とはいうものの、過保護で暑さに対応しきれずに虚弱化してしまった人間の身体が
この暑さをしのぐには水分補給とエアコンに頼らざるを得ませんね。

皆様、くれぐれも熱中症や熱射病にお気をつけて
暑さに負けず、元気にこの酷暑を乗りましょう。
自分の命は自分で守りましょう!!





本日の日替わりメニュー(31)

2018-07-22 13:28:10 | 本日の日替わりメニュー

『峠の幌馬車』  ビリー・ヴォーン楽団
”Wheels” Billy Vaughn   【YOUTUBEより】 


ニューメキシコ州出身の五人組バンドであるストリング・ア・ロングスのヒット曲で、メンバーのジミー・トーレスと
リチャード・ステフェンスそれにプロデューサーのノーマン・ペテイが共同で曲を作り、1961年にリリース、全米3位の
ヒットになりました。
同年にビリー・ヴォーンがこれをカヴァー、本国では28位にとどまったものの日本では本家を抑え込んで爆発的にヒット、
【今週のベストテン】でも年間2位を記録しています。(ちなみに年間1位は『太陽がいっぱい』)

  *****

真夏の猛暑の中でよく聞きましたので夏の曲というイメージが強いです…