「簡単に休めない」「騒ぎすぎ」 緊急事態宣言の北海道 市民に戸惑い
鈴木直道知事から、2月29日、3月1日の2日間の外出自粛を求める「緊急事態宣言」が出された北海道。人が集まる観光地などにいつものにぎわいはなく、街にはさまざまな声があふれた。
札幌市中心部にある百貨店「札幌三越」は1日、地下の食品フロアのみで営業した。勤務先から帰宅途中に立ち寄った50代女性は「29日に家の近くのスーパーに行ったら、買おうと思っていた肉などが全然なくて困った」と生活への影響を感じる。緊急事態宣言については「迅速な判断」と評価する一方、「ホテル業なので簡単に休めない。業務中にウイルスをもらって娘にうつさないか」と不安を口にした。近くに住む会社経営の男性(69)は「致死率がすごく高いわけでもないのに騒ぎすぎじゃないか」と疑問を呈した。
札幌市の男性タクシー運転手(65)は「普段はデパートの買い物袋を持った人を乗せることが多いが、昨日から全然いない。緊急事態宣言が出て以降、極端に人の移動が減った」と話す。JR札幌駅にいた、眼科の帰りという札幌市の男性会社員(56)は緊急事態宣言について「経済や学校に相当な影響があるので、少し過剰な印象もある」と批判的だった。
新型コロナウイルスの感染拡大を防止するため、安倍晋三首相に対し対策の重点地域に指定するよう緊急要望を行った後、記者団の質問に答える鈴木直道北海道知事=首相官邸で2020年2月29日午後5時18分、川田雅浩撮影
旭川市の観光名所・旭山動物園は屋内のイベントを全て中止した。通常の日曜日は4000人程度が訪れるが、1日は550人。2月の入園者数は前年の約7割といい、坂東元園長(59)は「この土日は象徴的。緊急事態宣言の効果が出ている」と話した。
鈴木知事は1日に開いた記者会見で、2日以降も換気が悪く、人が大勢集まる場所には行かないよう呼びかけた