「海の生物」から新型コロナウイルス“治療薬”を 研究進む…函館から世界へ
北海道函館市発の、新型コロナウイルス治療薬が誕生するかもしれません。
北海道大学大学院のグループが、海の生物から薬の“もと”となる成分を見つける研究を進めています。
カギを握るかもしれない生物の正体は?
沖縄の海で、海洋生物を必死に採取するダイバーたち。
目的は、新型コロナウイルスに有効な物質をもつ生物を探すことです。
一見地味なこの生物が、カギを握っているかもしれません。
北海道函館市の北海道大学大学院水産科学研究院で研究が進んでいます。どのような作業が行われているのでしょうか?
北海道大学水産学部 4年 山村 知己さん:「薬の"もと"を抽出してる感じ」
北海道大学大学院 博士課程3年 辺 浩美さん:「どれがウイルスに効くのか、毒性を持つのか、一つ一つ成分を見ていく」
海の生物から新型コロナウイルス治療薬の“もと”となる成分を探すプロジェクト。
400種類ほどの生物を調べたところ、約30種類にウイルスの毒性を弱める作用があることが確認されたのです。
水上 孝一郎 記者:「沖縄の海で発見された、こちらの海綿(カイメン)という生物からも、新型コロナウイルスから細胞を守る作用が発見されました」
北海道大学大学院 博士課程3年 辺 浩美さん:「サンゴの仲間やウミウシにも、ウイルスの毒性を弱める反応があった」
国の緊急プロジェクトとして研究費が支援されましたが、2020年度で終了。
さらなるサンプル採取などのため、クラウドファンディングで、6月末まで400万円の支援を募っています。
研究グループの酒井隆一教授は…。
北海道大学大学院水産科学研究院 酒井 隆一 教授:「『函館から世界へ』がうたい文句。新型コロナウイルス治療薬の“もと”が出てくる可能性がある。それを目指して研究を続けていきたい。新型コロナウイルスに効く物質が、次のウイルスに何らかの効き目を示すかもしれない」
新薬の“もと”となる成分を探す研究が世界的に広まれば、新たなパンデミックへの備えができるというのです。
函館市での研究が、新型コロナウイルスと新たな感染症に立ち向かうきっかけになるかもしれません。