冬場の話である。年配の女性がコタツに入ったまま亡くなった。もちろん、コタツのスイッチはONのまましばらく放置されていた。
遺体の上半身(コタツからでている部分)はパンパンに膨れあがり、顔も生前の面影は全くなし。体表には無数の水泡(火傷した時の水ぶくれに空気を入れたみたいなもの)。水泡の中は腐敗ガスと深緑色の腐敗体液が溜まっていた。
下半身は?というと、コタツに入っていたせいで、上半身とは逆に干乾びて茶黒黒色のミイラ状態になっていた。冬は気温も低く空気も乾燥しているため、そのような状態になったと思われるが、勉強になった。
腐敗液はコタツ敷を越えて、その下の畳にまで染み込んでいた。
季節柄か、私の天敵であるウジ・ハエの姿はなかった。彼等は結構寒がりなのかもしれない。
故人の首を見ると、何かが首回り一周に渡って食い込んでいる。紐か何かが巻きついている?自殺か?と思っていたが、そんなのは警察が調査済みなので、私は詮索することではない。
でも、何が巻きついているのか気になったので、膨れ上がった首の肉を寄せて奥を見てみた。すると、その正体はネックレスだった。生前は胸元に垂れるくらいの長さだったはずのネックレスが首に食い込むくらいに首回りが腐敗膨張したのである。
遺体が腐っていく段階で、身体がどれだけ膨れ上がるものか、この話で具体的にお分かりいただけると思う。
ちなみに、ネックレスで首を締められているようで、なんだか気の毒な感じがして、そのネックレスは外してあげた。
それから、その部屋を特殊清掃したことは言うまでもないが、世の中にはコタツが火事の原因になることだってあるらしい。この現場は、火事にならなかっただけでも不幸中の幸いかもしれない。
トラックバック 2006/06/03 投稿分より
なんかぼくらよりも大変そうですね。
がんばってください。
尊敬します。
がんばってください!
何となくですが、そう思ってしまいました。
虫が湧かないでだけマシな現場だったんでしょうか?
・・・にしても想像を絶する現場ですよね(汗)
このような仕事を選んだ理由が知りたいなあ。仕方なくやってるのか、好きでやってるのか?
やっぱ給料がめちゃいいのかしら?
常人の数倍もらわないと割が合わないですよね。仕事としての「やりがい」はあるんだろうか・・・