特殊清掃の最初の仕事は現場確認と費用見積である。
そこで初めて依頼者と会い、現場を見ることになる。
どんな現場でも、最初は使い捨てのビニール手袋(ディスポーサブルラテックスグローブ)を必ず着ける。
私はドアノブさえも素手では触らない。
そんな私を見て、自分はさんざん素手で触ってきた依頼者は不安そうな表情をする。
そして、ドアを開けて、すぐには中に入らずに、玄関からしばらく中を観察。
いきなり入ると、予測がつかない被害を被ることがあるからだ。
例えば、血液やウジが上から落ちてきたり、腐敗脂で滑って転んだり・・・。
中に入ると、まずは汚染個所の状況を確認する。それから間取りや家財道具の量・種類をみながら臭いをチェック(細かいことは企業秘密)。
問題は、汚染個所のチェックの際に起こった。手袋を着けているため、汚染されたものでも平気で触る。布団やカーペットをめくり上げたり、腐敗液のついた物品を動かしたり。
汚染部分のチェックは仕事の要なので、慎重かつ集中して行う。
汚染部分のチェックが終わると汚れた手袋を外すわけだが、そこでアンビリーバボー!な状況に気づいた。
なんと、手袋が破れていたのである!!!
手袋を外してみると・・・
案の上、手には腐敗液がシッカリ着いていた(ざんね~んっ!)。
速攻で見積りを中断して、手を洗って消毒。
それでも、臭いがなかなかとれない。
こんな仕事を長年やってながらも、腐敗液が身体の直接付着してしまうのはかなりのイレギュラーなケースで、普段からそこはかなり注意している。
それなのに、本作業じゃない見積段階で腐敗液を着けてしまうとは、我ながら情けなく悲しかった。
とりあえず、見積りは無事に済んで現場は退散。
嗅ぎたくないのについつい何度も手の臭いを嗅いでしまい、溜息をつきながらブルーなき分で帰路についた私であった。
トラックバック 2006/06/04 投稿分より
臭いが付くんですか・・・大変ですね。
月並みな事しか言えませんが、お察しします。
文章からでも壮絶な雰囲気が伝わってきますが
一体どのような匂いがするのでしょうか・・・。
臭くても匂ってしまうと言う人間のよく分からない習慣としても妙に気になる所存です。
最初から全部読ませていただきました。まさに戦う男たち、すごい仕事ですねぇ・・・
こういったことについては今まで考えたことすらありませんでした。これからの更新も楽しみにしてます。
がんばってくださいー
臭いは・・・かいでも大丈夫なもんなんでしょうか
例えようのない臭いです。
とにかく臭いという表現では足らず、鼻を殴られたような痛み?と言ったらいいのでしょうか・・・?
世の中にこのような仕事があることをついぞ知りませんでした。
人の死という人目に付かない、好んでしない仕事を誇りをもってしている姿に感銘すら覚えます。
こういう仕事をブログで公開するというのはある種不謹慎ではないかと迷われることもあるでしょうが、こういう仕事もあるということを知ってもらうにはいいかもしれませんね。
特に忌避される死体の後処理は何かと理解されないことも多々あると思います。ブログのコメントぐらいでしか応援することぐらいしか出来ませんけれども、頑張ってください。
一通り読ませていただきました。
凄まじいお仕事ですね…
頭が下がります。
臭いものには蓋をしろ、的な社会で
こういう仕事もあるんだよと訴えていくのが
大事で、ブログってこういうのが本来の
使い道なんじゃないか、とも思いました。
つらいことも多々あるかと思いますが
がんばってください!
手袋レベルが違いますねやっぱ・・・。