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2019年体験記「始めるのは、72歳からでも大丈夫!」 林 幸子

  きのう8月31日(土)、受講生の林幸子さんから体験記の最終稿が送られてきました。

 早速、ブログで紹介します。


  タイトルや小見出しは、林さんご自身がつけてくれました。

  文字の拡大や赤文字などは、こちらの恣意的なものです。



2019年クリエイト速読スクール体験記

始めるのは、72歳からでも大丈夫!
・シニアレッスン、おすすめします 
       

                                                    林 幸子

 

 ■「いまさら、どうして?」
 私は、昨年(2018年)6月にクリエイト速読スクールの無料体験レッスンを受講し、7月から通い始めました。今年5月末に受講回数は70回になりました。
 「72歳で、速読? いまさら、どうして?」と思われるかもしれません。私自身も、予約フォームから申し込むとき、送信していいものかと、ためらいました。それでも、「速読は、今の私にどうしても必要なことだ」と思わせる出来事がありました。

 ■「あなたは認知症になります」
 昨年6月上旬の昼近くのことです。電話が鳴り、出るといきなり「高齢者相談センターのものです。アンケートに答えましたね。その結果、あなたは認知症になります」と言われたのです。抑揚のない中年の女性の声でした。確かに、前年、区からと思われる高齢者アンケートに答えた記憶がありました。「えっ、私が、ですか?」と尋ねると、「はい、なります」と、きっぱり答えるではありませんか。そこで、「あなたは医療関係の方ですか?」と質問すると、ちょっとたじろいだ様子でしたが、すぐに立ち直って「それで、何か相談はありますか?」と、平然と聞くのです。
 私は、「ありません」とだけ答えて、すぐに受話器を置きました。「ないんですか~」という慌てた声が、小さく聞こえたような気がしました。
 この電話が、本当の高齢者相談センターからではないことは、すぐにわかりましたが、認知症と言われたことが、わだかまりとして胸に残りました。
 その後、若年性アルツハイマーで亡くなった職場の後輩のことを思い出しました。12、3年ほど前のことです。当時はまだ情報が少なく、周りの方達も彼が50代でアルツハイマーを患っていたとは思いもつかなかったようです。

 ■脳神経がきたえられるかもしれない、という期待
 私は焦りました。アルツハイマー型認知症の新薬開発は難しく、今も治験に至っていないという記事を新聞で読んだことがあります。老化した頭は、自分で何とかするしかありません。
 また、左目が一時ほとんど見えなくなり、手術のあと視力が回復したにもかかわらず、本一冊を読み切る気力を失くしていた時期でもありました。山積みになった本を眺めて、途方に暮れていました。
 そんな時、パソコンで検索中に、たまたま瀧本哲史さんの対談記事を見つけてクリエイト速読スクールに出会いました。とても堅実なところだという印象を受けました。速読は初めてでしたが、直感でここに決めてしまいました。
 クリエイトのホームページを読み、優秀な受講生が多いことが分かり、私のような高齢者でも受け入れていただけるのかと心配でした。でも、受講すれば、きっと劣化した脳神経が鍛えられるかもしれない、という期待もありました。
 体験レッスンの成績はご想像のとおりですが、講師の方が温かく迎えてくださり、面接をしてくださった松田先生がデイタイムレッスンをすすめてくださいました。こうして私は、72歳の新入生になることができました。

 ■1分、2分、3分の訓練がびっしりと詰め込まれていて
 トレーニングプログラムは、「カウント呼吸法」から始まって、「倍速読書」まで多彩です。私はマイナスからのスタートなので、まず頭を普通に戻すことが目標でした。スコアを上げるより、スコアが一日一日積みあがっていくことが大切でした。
 しかし、すぐに「かなランダムシート」や「かなBPシート」、「かなひろい」などの訓練で躓いてしまいました。もちろん、ひらがなは読めますし、書けます。でも、見つけられないのです。「ひらがな 50音表」を頭に叩き込まなければならないと思い、『7さいまでに身につけたい ひらがな れんしゅうちょう』(学研)を毎日練習することにしました。いまは、乗り物に乗ったときだけ、空中や手のひらに「あ」から「ん」までを描くようにしています。繰り返し行っていけば、きっと効果は表れると思うと、前向きになれました。
 「スピードチェック」は左に20問、右に20問の合計40問を1分間でチェックする訓練ですが、長い間、左から右に移れませんでした。「サッケイドシート」のスコアが上がり、横に広く見られるようになってから、ようやく右側の問題に移ることができました。
 クリエイトでは90分の間に1分、2分、3分の訓練がびっしりと詰め込まれていて、さまざまな方向に頭を働かせなければなりません。また、一人ひとりのレベルにあつたメニューが用意されていて、同じ時間に隣の人とは違う問題を解いていたり、私が3分かかるところを、20秒で終わる超人がいたりします。
 講師の方たちは、予約せずにやってくる受講生のテキストや倍速読書の本をたちどころに用意して、それぞれの強みや弱みに合わせて、短くアドバイスまでしてくださいます。

 ■ここでは珍しい高齢受講者なので
 私は、ここでは珍しい高齢受講者なので、10回ごとのアンケートには、困ったことや気になることをできるだけくわしく書くようにしています。その中で「イメージ読み」の文節分けの書き方がわからずに苦戦していると伝えたとき、講師の皆さまが、さまざまな方法で句切り方を教えてくださったことがありました。とても感謝しています。私も『中学国語文法 くもんの中学基礎がため100パーセント』(くもん出版)で勉強することにしました。
 クリエイトには、いつも不思議な時間が流れていると思うのですが、不思議といえば、「水晶の玉」というイメージ訓練です。子ども時代の記憶を思い出す訓練の後、帰りの電車の中で起こった「記憶の流出」は忘れられません。その後は、どんどん遡って様々な記憶がよみがえります。誰かが何かを伝えようとしているかのようでした。
 思い出が多すぎて、記憶が引き出せないシニアの方たちには、ぜひ、一度受講していただきたい訓練です。

 ■ここで読んだ本から次々に興味が広がっていく
 私は最後に行われる倍速読書訓練が楽しみなのですが、ここで読んだ本から次々に興味が広がっていくことがよくあります。
 齋藤孝さんの『ガツンと一発シリーズ』は、著者が元気すぎて、当時落ち込んでいた私には、別の意味で「ガツンと一発」だったのですが、その後、『呼吸入門』(角川文庫)などを読んで著者の姿勢に納得しました。『銀河鉄道の父』(門井慶喜講談社)のあとには、『兄のトランク』(宮沢清六筑摩書房)がつながっていきました。
 最近、おもしろかった本は、図書館の児童書コーナーで見つけた『世にも美しい日本語入門』(安野光雅/藤原正彦ちくまプリマー新書)です。その中に登場した「私立 蝙蝠中学校 校歌(3、4番)」(安野光雅作)に、ボルネオ島のディアケイブから、2万匹の蝙蝠が次々に飛び立っていった夕暮れの光景を思い出しました。生き物たちの仮の学校の校歌をまとめた歌集『大志の歌』(童話屋)を、すぐ注文してしまいました。しばらく楽しめそうです。
 今年は、私の弱点の一つ「イメージ記憶」の手がかりを求めて、美術展に通おうと思っています。2月には東京都美術館に「奇想の系譜展」、4月には東京国立博物館に「東寺 空海と仏教曼荼羅」を観に行きました。東寺展では、15体の仏像を配置した巨大な立体曼荼羅が圧巻でした。画集や絵本もイメージ力アップのヒントになりそうです。

 ■「100回コース」はシニア世代への思いやり
 クリエイトに通い始めてから、毎年、年末から3月まで続いた「風邪のフルコース」が今年は一度もありません。受験生が通っていたので、用心していたからかもしれません。あるいは、ここに通うことで丈夫になったのでしょうか。
 三回手術してやっと見えるようになった左目も、「サッケイドシート」や「スピードボード」などの訓練で眼筋が鍛えられるのか、良く見えています。以前は、ぼんやりと大きく滲んで見えた月も、今は、ビルの向こうにきれいに輝いて見えます。お月見好きな私の行く手を、はるかに照らしてくださっているかのようです。
 まもなく、1年。また暑い夏がやってきます。60回をこえてから、目標だった普通のスコアに、少しずつ近づいているような気がします。
 シニアレッスンは100回コースです。私たちは結果が出るまで時間がかかります。この100回という回数には、シニア世代への思いやりが込められていると感謝しています。
 はじめはスピードについていけなくて焦ることもあります。でも、訓練を続けていくうちに、文字が速く広く読めるようになったり、頭が良く回るようになったり、判断力がついてきたりします。仕事をずっと続けたいシニアにも、クリエイトの速読訓練は、きっと役に立つと思います。
 最近、私は終活をちょっとお休みして、もう少し「人生」を楽しもうと思い始めています。私たちのためにシニアレッスンを設けていただき、ありがとうございました。これからもよろしくお願いいたします。

 ■あとがき
 体験記を書いてから2か月が過ぎ、8月末に受講回数が90回になりました。 シニアレッスンは100回コースなので、残りの10回で、至らないところをどこまで伸ばせるか、いよいよ頑張るしかありません。
 教室が夏休みに入り、私は家のパソコンで検索中に瀧本哲史さんが亡くなったという京都新聞の記事を見つけて動揺してしまいました。 8月10日(土)に亡くなられたそうです。47歳。これから仕事が面白くなる年齢です。「あと、せめて10年」、は叶わない夢なのでしょうか。惜しまれてなりません。
 私は瀧本さんの対談を読んでクリエイトに入会させていただきました。投資やディベートに接点がなかった私は、瀧本さんを知らなかったのです。でも、瀧本さんの言葉には説得力があり、この人は信じられると直感したからです。 何より、前頭葉から火花が散っているようなお顔写真には迫力がありました。
 入会してからすぐ『読書は格闘技』(集英社)を読みました。こんな風に深く広く読み比べて、読者の好奇心を刺激することができる方だったのだと驚きました。クリエイトに導いてくださった瀧本さんに、心からお礼を申し上げます。
  瀧本さんの受講生当時のことは、ベテラン講師の方が「読むのも速かったけど、書くのはもっと速かった」と、新入受講生に伝えているのを小耳にはさんだことがあります。 教室には、瀧本さんの推薦本のコーナーがあります。著書もたくさん残されているので、私たちはいつでも瀧本さんから「武器」を受け取ることができます。クリエイトは、瀧本さんの聖地のひとつになったように思います。
 逝去されてから、ご友人の武井涼子さん(グロービス経営大学院大学准教授/声楽家)や、瀧本さんがエンジェル投資家として起業を後押ししてきた企業法務革新基盤株式会社の野村慧さんの追悼文を読み、天才瀧本さんのあたたかく心配りのきいたお人柄にもふれることができました。
 謹んで、お悔みを申し上げます。



 先月10日に逝去した瀧本哲史さんについて加筆をお願いしました

 林さんに関連するブログ(Sさん)です。

  ・2018-08-09まったり休養していた脳が、突然「立ち上がれ!  走れ!」と命じられて、
 ・2018-09-09【酷暑 速読】などと、海馬に焼きつけておきたい
  ・2018-10-24人によって1秒が長かったり短かったりする不思議な時間が流れている」 
  ・2019-02-15楽しく行うようにしたい。今回からは
  ・2019-04-16「池袋に秘密基地ができた」と思って
 ・2020-11-13
とんでもない依頼
 ・2022-03-31久しぶりに貪欲な気持ちが湧いてきた


 林さん、体験記ありがとうございました。   



                           

           ※クリエイト速読スクールHP
              

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