さわやかな春の朝。ウィルスが蔓延しているとしても朝の空気がすきだ。
うごめく草木や昆虫に小動物は、自身の捕食危機などには無関心に見える。
霊長類の頂点に立つ人間様の憂いだけが、既にパニックへと移りつつある。
幼くして命を亡くす人が減れば幸せはやって来るはずだった。
飢えと寒さが為に人の心は荒廃するのであって、克服すれば幸せはやって来るはずだった。
あらゆる病と戦い続け、死を遠ざければ遠ざけるほど、逆に死の恐怖は増してくる矛盾。
累計数字の発表ばかりでウィルス被害も現状把握しにくく、取り乱す人は増え続けている。
本来一つである人の営みを、命と経済とに切り離して考える人も増えている。
モリカケ問題もみ消しや、公文書改ざんを不問に伏す政府へ、強権発動を希望する人も増えている。
その昔、長生きと呼ばれる人がまだまだ少数派だった頃には、もう戻れない。
そもそも人にとっての本分とはなんなのだろうか
「ひと」「こころ」なんて柔らかい言葉は、平時のお遊びにすぎないんだろうか。
人類以外の生き物を眺めていると、情緒清く、豊かに深く感じることはあるというのに。