先日は(今日でも昨日でもなく・・・)
大田区民オペラ『トゥーランドット』を観に行きました。
ツイッターでもつぶやきましたが、
もし日本にスタンディングオベーションの文化があったら、
間違いなくそれを受けているだろうなと思うくらい、
素晴らしい公演でした。
終演後、なかなか鳴り止まない拍手や、
なかなか下されない緞帳・・・
↑ これって、緞帳を下すスタッフさん達も、
公演が終わってしまうことをさみしく思っている証拠なので。。。
ロビーに溢れる人・楽屋口に殺到する人・出口で話し込む人・・・
ホールの目の前にある居酒屋になだれ込むグループ・・・
これが文化ですよ、橋下さん!!!
それはさておき。
ソプラノの大隅さん、大ファンです。
日本で最高のリリコ・ソプラノだと思う!
彼女が高音域で出すピアニッシモ・・・
・・・大隅ピアニッシモと呼ばれているらしいのですが・・・
これが聴きたくてチケットを買いました。
トゥーランドットのリューという役には、
高音でのピアニッシモが効果的に出てくるのです。
先ずは1幕。“スマイル”という単語です。
奴隷である彼女が献身的に王子や、盲目となってしまった王に仕えるのは、
王宮で王子が“微笑んでくれたから”。
奴隷である自分に、王子である彼がスマイルをくださったから。
人間として扱われないことの多い奴隷という身分。
そんなリューに微笑みかける。
もちろん王子はそんなこと覚えていないと思います。
リューに微笑みかけた訳ではなく、誰にでも優しい顔を見せるのだと思います。
リューにだけ特別に微笑みかけてたら・・・
どんだけ女好きやっちゅうねんっ!って話になっちゃうので。
でも、リューにとっては嬉しかった。人間として扱われたようで、
ちゃんと、人として見てもらえたようで、嬉しかった。
生きていたいと思ったかもしれないし、
奴隷として、生きていけると思ったかもしれないし、
この人のために生きていようと思ったかもしれないし。
この人のためなら命さえ投げ出すと思ったかもしれないし。
そう思えるきっかけとなった“スマイル”
その単語を歌う時に、高音でのピアニッシモが要求されるのです。
中低音域がしっかりと鳴る人で、
高音のピアニッシモを持っている人は少ないのが現状・・・
私のようなレッジェーロだったら出せるかもしれませんが、
私の声では中低音域が出せない。
・・・いや、出せるのですが、
オーケストラを相手にしたら、かき消されてしまいます。
軽やかに宙を舞う新体操の選手が、
レスリングや柔道の試合に出るようなものです。
軽々と持ち上げられて終わりでしょう。
伴奏がピアノだったり、会場がトナカイだったら出場しても良いのですが。
彼女はリリコで、軽々と宙を舞うことができる人です。
楽しみに出かけました・・・そして、期待通りでした。
ピアニッシモで響く“スマイル”
その笑顔が、どんなに崇高で輝いていたかを容易に想像できる響き!
チケット買ってよかったぁ~
そして、1幕のアリアで聴かせてくれた高音でのフォルテも、素敵でした。
いつもあのフォルテを聴かせてくれるといいな~。