さなえのうた

歌いながらあちこちに出没します♪

ゲオルク・シューネマン

2020-09-28 | オペラ研究
ゲオルク・シューネマン

ペータースから
フィガロのドイツ語訳詞を出版した人物です。

フィガロの他に、
ドン・ジョヴァンニもコシ・ファン・トゥッテも、
ペータース版のドイツ語訳詞は
シューネマンです。

以上、覚書のみにて♪
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Nr.1の小道具~misura~

2020-09-27 | オペラ研究
さて。

フィガロの1番2重唱の小道具を考えるのに、
ペータース版のト書きを参考にしました。
このト書きはドイツ語です。
Georg Schünemann ゲオルク・シューネマンという人が、
翻訳したものです。




~ドイツ語への翻訳~

ウィキペディアによれば、
シューネマンは、1884年にベルリンで生まれました。
ベルリン音楽大学で教授や学長を務めた人物で、
1945年、第二次世界大戦でドイツが敗戦をした年に、
ベルリンで亡くなりました。60歳でした。

1933年、ヒトラーが首相となった年に、
ナチスのcivil servants' association 公務員同盟(※さなえ訳)のメンバーとなり、
1940年にフィガロのde-jewied 反ユダヤ版(※さなえ訳)翻訳を発表しています。

さらに、ウィキペディアによれば、
ペータースは、1939年にナチスによって会社を没収されています。

1939年と言えば、ナチス・ドイツがポーランドに侵攻した年です。
第二次世界大戦の始まりです。

翻訳発表は、開戦の翌年…。

…そんな、背景を考えると、
ドイツ・ファーストを掲げるベルリン人のシューネマンなら、
イタリア語の misura を Zollstock と訳しそうな気がします。


フィガロのドイツ語翻訳については、
ベーレンライター版の前書きにも言及があります。




~ misura ~

ベーレンライター版およびリコルディ版では、
イタリア語でト書きに『フィガロは misura を手に』と書いてあります。

では、この misura をどう訳しましょう。

計器、はかり、物差し、巻き尺、メーター、メジャー…。
いろいろな訳が考えられます。

長さや大きさなどを測る・量る・計るための道具。
…要するに、↑ これです。

『フィガロは長さを測るための道具を手に』が
一番適切な訳でしょう。
…要するに、物差しでも巻き尺でもツォルシュトックでも、
ただの棒っきれでも良いということになります。




~ツォルシュトック~

misura を ツォルシュトック と訳したのは誤訳でしょうか。

ツォルシュトックがいつ頃できたのか、わかりませんが、
モーツァルトやボーマルシェの時代になかったとは言い切れないと思います。

舞台はスペイン。アルマヴィーヴァ伯爵邸です。
ヨーロッパ各国との交流はあったので、
ツォルシュトックがスペインにあってもおかしくありません。

よって、misuraをツォルシュトックとするのは、
間違いだとは言えないと思います。

それを使ってもよいはずだと考えます。

ですが、Zollstock には
『Zollという長さを測る棒』の意味があります。
Stock シュトックはスキーの杖であるストックと同じもの。
棒です。

misura をツォルシュトックと限定するのは間違いでしょう。
棒である必要もありません。


…音楽的には、とってもピッタリだと感じるのですが。



~物差し、巻き尺…~

ベーレンライター版には、イタリア語のト書きの他に
ドイツ語のト書きがあります。

misura をZollstock ではなく Maßstab と訳しています。
『長さを測るための棒』の意味です。
尺度、基準などの他、物差しとも訳されます。

ドイツ語だと、素材を限定しちゃうんでしょうかねぇ。

misura には棒の意味は含まれません。

リボンタイプの巻き尺でも良いってことでしょうねぇ。
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Nr.1の小道具~ツォルシュトック~

2020-09-26 | オペラ研究
ツォルシュトック
折り尺です。

『折尺』または『折れ尺』などでも、画像検索できます。
ツォルシュトックだと、地名が出てきちゃいますねぇ。




~ツォルという単位を仮定する~

フィガロは最初に『5』を測ります。

単位は明記されていません。
5センチかもしれませんし、5インチかもしれませんし、
5フィートかもしれません。
いきなり5メートルではないでしょう。


先ずは、
ペータース版のト書きに従って、
現代のドイツならどの家庭にもある物差し、
ツォルシュトックを使用していたと仮定します。

昔の長さの単位であるツォルは、親指が基準となる身体尺で、
現在のインチや寸とほぼ同じ長さだそうです。


1インチは25.4ミリメートルつまり2.54センチメートルです。
小数点第二位を四捨五入して、1ツォルを2.5㎝と想定します。
5ツォルで12.5㎝です。
ツォルをインチと同じくらいと考えるなら、
フィガロは最初に12.5㎝くらいを測っていることになります。

5、10、20、30、36、43。
12.5㎝、25㎝、50㎝、75㎝、90㎝、107.5㎝です。




~ツォルシュトックで測る~

ペンケースに収納できるツォルシュトック。

物差しは、フィガロの商売道具の一つでもあったでしょう。
理髪師のハサミやクシ、ブラシなどと一緒に
道具箱などに物差しも入っていたはずです。
道具入れに刺さっていると表現した方が実感が湧くかもしれません。


先ず、ツォルシュトックを床に置きます。
測りたい場所に合わせて。壁から測り始めるでしょう。
幕が開き、18小節目から始まるレの連続に乗って、
ツォルシュトックを置きます。
フィガロのテーマに合わせて。

道具入れから出したツォルシュトックを、
収納時の長さのままで、置くだけです。
壁にちょんとツォルシュトックの頭をくっつけて、
『よいしょ』と響くような5度の下行形で、『5』。

たぶん、収納時の長さが『5』なのです。

次に、ツォルシュトックを伸ばします。
20小節目から21小節目にかけてのフレーズ、
レが連続するフレーズに合わせて、
折り畳まれているツォルシュトックを、
5ツォルから10ツォルへ、よいしょと、
2倍の長さに伸ばします。

『よいしょ』と響くような3度の下行形で、『10』。
オーケストラは6度の下行形です。

さらにツォルシュトックを伸ばします。
レが連続するフレーズに合わせて、
よいしょと、10ツォル分伸ばします。
3度の下行形、オケは5度の下行形で、『20』。

さらにツォルシュトックを伸ばします。
…気分が高揚してきました。
ゴールに、近づいてきたからです。
音もだんだん上がってきました。

連続していたレは、長3度上がりました。
ファ#が連続するフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、よいしょと、
ツォルシュトックを伸ばします。
3度の下行、オケは5度の下行で、『30』。
G-Durの主和音です。

しかも、
この2重唱の中で、フィガロが演奏する最高音であるレに
ここで到達しました。

どうやら、『30と少し』という、
だいたいの大きさを測ることができたようです。

あとは、微調整。
26小節目から27小節目にかけての、
小躍りするような、可愛いフレーズに合わせて、
さらに10ツォル分、ツォルシュトックを伸ばして、
細かい数字を確認して、『36』。

目盛りを細かくきちんと確認しているようなフレーズです。




~ツォルシュトックの使い方~

そして、
ここで、そのツォルシュトックをそのまま持ち上げます。

この物差しの良い点は、固いことです。
金属製か木製のツォルシュトック。
モーツァルトやボーマルシェの時代なら、木製でしょう。
40ツォル分に伸ばした状態のまま、
持ち上げることができます。

スチール製の巻き尺よりも簡単に、
持ち上げて、方向を変えることができるのです。

1メートルの木製の物差しを持ち上げるような感覚で、
ツォルシュトックを持ち上げます。

スザンナの前奏とも表現した28小節目からのフレーズで、
90度、角度を変えました。
そして、『43』。

縦の丈が43ツォル、横の幅が36ツォル。
ダブルサイズのベッドの大きさを測ることが出来ました。


……そして、この測り方は、
音楽的にもマッチしているような気がします……。




~ツォルという単位を定義する~

最初の前提に戻ります。

ツォルをインチと同程度の長さとして定義しましたが、
ツォルというのは、身体尺であり、
『親指分』の意味です。

インチと同じくらいの長さですが、同じ長さではなく、
現在はインチよりも少し短めと定義されています。
が、当時は『親指分』の長さと定義されていました。

つまり、世界基準ではなく、
国によって、地域によって、時代によって、人によって、
長さが変わります。
あるいは、
持っている物差しによって、長さはマチマチだということです。

尺や寸を考えてみるとわかりやすいかもしれません。


『私の親指で測った長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さ』が『ツォル』です。
『親指分くらいの長さを測る物差し』が『ツォルシュトック』です。

よって、1親指(ツォル)は3センチであったかもしれませんし、
2センチしかなかったかもしれません。


1ツォルが5㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
180㎝×215㎝です。
キングサイズよりも丈が長い、キングロングサイズのベッドです。
召使夫婦が使うには、大き過ぎます。

1ツォルが4㎝だったと仮定します。
36ツォル×43ツォルのサイズのベッドは、
144㎝×172㎝です。
ダブルサイズよりも少し丈の短い、ダブルショートサイズのベッドです。

オーストリアに居た頃、モーツァルトの家で見たベッドを
思い出してみます。
丈が短く、身長が低かったのかと感じたことを思い出します。

よって、144㎝×172㎝のベッドは、
モーツァルトやボーマルシェの時代の二人用ベッドとして、
合点がいくサイズだと思えます。

4.1㎝か4.2㎝か…。
とにかく、4㎝強くらいの長さが
フィガロの1親指(ツォル)サイズだったように思えます。




~結論~

フィガロが、ペータース版のト書き通りに、
ツォルシュトックという物差しを使っていたとしたら、
上記のように、パタパタと伸ばしつつ、
音楽に合わせて測量をしていたでしょう。

そして、
フィガロの使っていたツォルシュトックの1ツォルは、
だいたい4㎝強くらいであったでしょう。

そのように考えて
フィガロ役は演技をしてよいはずです。


5ツォル、10ツォル、20ツォル、30ツォル、36ツォルと43ツォル。
20㎝、40㎝、80㎝、120㎝、144㎝と172㎝。


フィガロや小道具さん、
ぜひこんなツォルシュトックを作ってください。

木製で、
10ツォル毎に蛇腹に折り畳めて、
それをさらに半分に折って、収納できるようなものを。
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Nr.1の小道具~物差しZollstock~

2020-09-24 | オペラ研究
フィガロの結婚の1番2重唱を上演する時、
必要な小道具は二つです。
(鏡を小道具としてカウントする場合は3つです)


フィガロが手にしている物差し。
スザンナが頭にしている被り物。

先ずはフィガロの小道具から考察してみます。




~ Zollstock ~

ペータース版には、ト書きに
"Figaro mit einem Zollstock in der Hand"
"Zollstockを手にしたフィガロ"とあります。

"Zollstock"は"物差し"または"折り尺"などと訳されます。




~折り尺~

折り尺…日本ではあまり見かけないと思います。
なぜなら一般家庭に普及しているのは巻き尺だからです。

3mや5m…。
測った後で、くるくると巻いて収納するのが巻き尺です。
あるいはボタン一つでシュルシュルと、
巻かれて収納されてくれます。

手のひらサイズに収納されて、
巻き尺は持ち歩きにも便利です。


Zollstockは巻き尺のように数mのものを測れますが、
巻かずに、折り畳んで収納します。

つまり、固いです。
木製だったり、金属製だったりします。

折り畳み式のナイフのように、
長い物差しを二つ折り…どころか、
四つ折り、八つ折り、…いやそれ以上です。
山折りと谷折りを繰り返して
折り畳んで収納します。

蛇腹定規とでも表現しましょうか。

ペコペコと折り畳んで収納するので、
ペンケースにも収納できちゃいます。

二つ折りの定規は、日本でも売られてます。
あれがもっと長くて、いくつも折られているもの,
それが降り尺です。


折り畳み杖をイメージした方がわかりやすいでしょうか。




~ Zoll ~

Zollstock の Zoll は、長さの単位であるインチのようなものです。
厳密に言うと、長さが違いますが、
Zoll ツォルはインチと訳されることが多いです。

昔は長さを表す単位として、ツォルを使用していたようです。
日本で言えば、寸のようなものです。
どちらも約3センチ、
厳密に言えば、ツォルの方が少し短めです。

寸もインチも、親指を基準として定められた長さの単位です。
身体尺とも言うそうです。

…日本人は、指が太かったのかなぁ…。


《続く》
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アンサンブルのトップ

2020-09-22 | オペラ研究
さて。
フィガロ第一番2重唱を
36小節目まで歌ってきました。

30小節目からスザンナは歌い出しますので、
7小節間です。



~最高音と最低音~

この7小節の中の一番高い音は、
五線譜から飛び出たソの音です。

中央ハを1点ハとすると、2点ソ、
中央ハをC4とすると、G5です。


逆に一番低い音は、
五線譜の中のソの音です。
ト音記号の基本となるソの音ですね。

中央ハを1点ハとすると、1点ト、
中央ハをC4とすると、G4です。


いずれも最後のフレーズに含まれますが、
このソからソまでの1オクターブ、
これがスザンナの全編を通して、
スザンナの演奏音域のほぼ基本だと考えています。

中央ハを1点ハとすると、1点トから2点トまで、
中央ハをC4とすると、G4からG5までです。


第一番2重唱の中で、ファ#(Fis・F#・嬰ヘ)が一瞬出てきますが、
基本となるのはソからソまでの1オクターブでしょう。




~スザンナが歌う最も低い音~

このオペラを通して、
スザンナが演奏する最も低い音は、
第27番アリアの中で歌うラの音です。
"… notturna face "の" ce "の音ですが、
これはオクターブ上を演奏して回避することもあります。

中央ハを1点ハとすると、イ、
中央ハをC4とすると、A3です。


これを抜いて考えると、
五線譜より少し下のドの音が、
数えられるほど数回、出てきます。

中央ハ、1点ハ、C4です。


ドまたはラ、
これが、スザンナが歌う最も低い音です。




~スザンナが歌う最も高い音~

このオペラを通して、
スザンナが歌う最も高い音は、
第13番3重唱の中で歌うドの音です。
コロラトゥーラの最終到達点ですが、
これも回避されることがあります。

中央ハを1点ハとすると、3点ハ、
中央ハをC4とすると、C6です。


これを抜いて考えると、
五線譜のすぐ上のラの音が、
数えられるほど数回、出てきます。

中央ハを1点ハとすると、2点イ、
中央ハをC4とすると、A5です。


ラまたはド、
これが、スザンナが歌う最も高い音です。




~スザンナの音域~

五線譜の下のラから五線譜の上のドまで、
イから3点ハまで、
A3からC6まで。

2オクターブと3度。

これがスザンナの演奏音域です。
この音域が文句なく響いていれば、
スザンナは軽々と歌えることになります。


回避を考えると、
五線譜の下のドから五線譜の上のラまで、
1点ハから2点イまで、
C4からA5まで。

1オクターブと6度。
2オクターブ以内。

この音域が出せないのなら、
スザンナ全編は歌ってはならない!
…ということになります。




~ファからソまで~

最も高い音や最も低い音は、
数えられるほどしか出てこないので、
スザンナの演奏音域の中心は、
五線譜内一番下の段のファから、
五線譜のすぐ上のソまでだと考えます。

1点ヘから2点トまで、
F4からG5までです。


この音域がスザンナの音域の中心なので、
アンサンブルではトップに書かれているのです。


・・・ん?
この音域って、
スザンナの最初の7小節と、ほぼ同じじゃない?




~最初良ければ全て良し~

これまでにも力説してきましたが、
最初のフレーズが良ければ、
最後まで歌えるはずだと言うのは、
音域的にも、上記のような理由からです。

加えて、ほぼ全ての母音と、ほぼ全ての子音が
この7小節には含まれています。
(破裂音・摩擦音・唇を使う子音・舌を使う子音…)

Sembra fatto IN VER per me!!

さて、練習しましょ♪
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