さなえのうた

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ミミはなぜミミと呼ばれているのか~~~ボエーム考②~~~

2017-04-19 | さなえ的覚書
オペラ『ラ・ボエーム』について語っちゃいたいこと、その②

本名がルチアなのに、なぜミミと呼ばれているのか。



これはねー、以前ボエームに出演させて頂いた時に、
マエストロと『だよねー』と盛り上がっちゃった話なのですが。






ミミは本名のルチアに由来する愛称ではないでしょう。
ではなぜミミ?


これは、本名が剛(たけし)なのにジャイアンと呼ばれるのに似ていると思います。
つまり、通称。


ではなぜ、通称がミミ?

ボエーム考①でも書いたように、
彼女は自己紹介のアリアでこう歌い出します。
(以下、斜体はさなえ訳)

Mi chiamano Mimi
(人々は)私をミミと呼びます
※Mimiの二つ目のiには右下がりのアクセントが付きます

この文の最初についているMiがポイントです。

彼女のセリフを拾い出してみると、
主語の『私は io 』を使わずに
『あなたは・彼は・人々は』などの他人称を主語として
『私に/私を mi 』を使って自分のことを話すことが多いです。


例えば・・・

1幕、アリアの歌い出し
Mi chiamano Mimi (※Mimiの二つ目のiにはアクセントがつきます)
(人々は)私をミミと呼びます
⇒ 普通は、Io(私は)を主語として Mi chiamo...と名乗ります

2幕、マーケットでの会話
Mi sta ben questa cuffietta rosa?
このバラ(色)の(小さな)帽子は私によく似あうかしら?
⇒ 「私はこれが欲しい」とおねだりしてもよくないかしら?

3幕、ロドルフォが店から出てきた時
Ch'ei non mi veda! 彼が私を見ないように!
⇒ 「私は彼に会いたくない」という意味で使っているはずなのに!

3幕、店の中に入ろうと言われた時
quel tanfo mi soffoca!  あの臭いが私を息苦しくさせる!
⇒ 「私は入りたくない」という意味でしょう!

4幕、ロドルフォの元に戻ってきた時
Mi vuoi qui con te?  私にここにいて欲しい?
⇒ 「私はあなたと一緒に居たい」って意味だよね?

4幕、死の床で
Tu non mi lasci?  あなたは私を離さない?
・・・ロドルフォは強く彼女を抱きしめます「No! no!」






いつも mi... mi...と他人称を主語として話すので『ミミ』






私はこうしたいって滅多に言わないんですよね。。。ミミは。
だから「彼のそばで死にたい」というミミの願いを、
しかもvorrei morirではなくvoglio morirと言ったミミの言葉を
仲間たちは全力で叶えてあげるのだと思います。




これが、マエストロと意見一致した結論。


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