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【霊告月記】第十五回 ロートレアモンの真価を知る男・芥正彦

2017年01月01日 10時00分00秒 | 霊告月記11~15

【霊告月記】第十五回  ロートレアモンの真価を知る男・芥正彦

 《解説》以下は、数年前、芥正彦氏に出したメールです。当時私は【断トツに面白いダンスポ】をブログに発表していまして、芥正彦氏の応援ビデオメッセージを頂けないものかと考え、依頼のメールを出してみたのです。しかし芥氏はあいにく演劇公演の準備の真っ最中(『アルトー24時 再び』 脚色・構成・演出 芥正彦)でした超多忙で私の願いは叶わなかったのです。


==== 2014年5月22日、芥正彦氏宛のメール ====

芥さん、おひさしぶりです。
 
私はあなたとは一回しかお会いしていませんけれど、鮮烈な出会いであったがゆえに、きっと記憶の底からその時の映像や声を蘇らせて頂けるものと確信して、「おひさしぶりです」という挨拶をもって、このメール本文を書き出します。
 
それは私にとって劇的な出会いでした。もっともあなたと出会う人にとって、それが劇的な出会いになるのは必定である気もします。万人に劇的な出会いという概念(=これぞまことの演劇ではないか!)を理解させるためにあなたはこの濁世に降臨したのではないか。そのようにすら感じます。
 
日時は1978年の大晦日だったと思います。劇団ホモ・フィクタスの公開稽古があなたのアトリエで公演されました。「ピア」を見てその公演に参加した観客は3名。私以外の2名は関係者の知人らしく若い女性ふたり。場違いを悟って、公演の半ばで退場。残る観客は私ひとりとなりました。
 
その日の公演は、前半がベケットの一人芝居で中島葵さんが熱演。続く2作目は芥さんのオリジナル作品で、これも一人芝居。キン肉マンのような方が演じていましたね。
 
その芝居は、まずドストエフスキーの地下生活者のモノローグで始まった。例の「私はいじわるな人間だ」という語りだし。そのモノローグがいつの間にか、マルドロールにすり変わる! 素晴らしいアイデア。多くの声が同じ俳優の肉体を借りて現出する。
 
驚嘆していると、マルドロールの声が、天皇にすり変わりました。天皇がマッカーサーに嘆願します。「国民を救ってほしい。犠牲の血が必要なら私の血を捧げよう。私を生贄にして赤子を救ってほしい!」。天皇のマーカーサーへの嘆願。絶叫によってその劇は終焉します。
 
こんなにもはっきりとその劇の印象を覚えているのは、選ばれた観客である私以外に、その劇がその日上演されたことを知る人はいないということもあるかもしれません。しかしそれが唯一の理由ではない。
 
私はロートレアモンを崇拝する者です。地下生活者と天皇を前後に従えてあの日の劇の中で降臨したロートレアモンの声はいまも鳴り止むことはありません。劇に感動した私は、その夜何をしたか。
 
劇の終了後、やんわりとおだやかに「質問があるんですけど、いいですか」と切り出した。芥さんはおだやかな表情で「いいよ」と応じた。片付けかなんかがあるので、2、3分、その後待ったような気もします。
 
で、質問など何もなかったのです。なんでもいいから揚げ足を取って、論争をふっかけて芥さんをギヤフンと言わそうと試みた。三島を論破したあなたを、今度は私が論破するという即興劇を演じたかった。あなたは私の挑戦に応じてくれ、真剣に反論しました。議論は白熱し、激論、真剣勝負の様相を呈してきた。心配そうにこちらの様子を伺う中島葵さんの表情がいまも目に浮かびます。
 
話題は必然的にロートレアモン論にはいっていった。しかし、あなたの語るロートレアモン像はいちいちもっともで、さすがの私も真正のロートレアモン像を証すあなたの言葉にだけは、揚げ足取りも反論もできなかった。私は論戦を放棄。一転して、私はあなたに対し、君子は豹変するを地でいって、あなたに賞賛の言葉を口にしはじめ、場はなごんでいきました。葵さんもホッとした様子。「すごく険悪な様子で、どうなるかと思ったけど。なんだ、芥のファンがからんだだけか。心配しただけ損した」とでも言いたげな表情でした。その時((⌒▽⌒)。
 
思い出していただけましたでしょうか。私との一回切りの出会いのその時の光景を。
 
自己紹介が遅れました。私は川端秀夫といいます。WEBでのハンドル名はダンボールです。芥さんとの共通の友人としては、土方巽の公演の制作を手伝っていた森下隆くんがいます。彼とは高校の同級生で、40年来の親友。いま彼は慶応の土方巽アーカイブの代表をしています。
 
さて、本日は、あの日の中の会話で、以下の部分を思い出して頂きたく、参上したというのが真相です。
 
すべての論争が終結し、和やかな雰囲気に包まれました。あの日、葵さんはそんなにも失礼な言動をしたわたしに、お茶とケーキを出してもてなしして下さったのをよく覚えています。葵さんおもてなしのお茶とケーキをパクつく私に芥さんはこう誘ったのでした。
 
芥さん「どうだい、ぼくの劇に出てみないか。いまの話しっぷりからして、きっと役者としての才能あると思うよ」。ぼくに役者の才能なんかあるはずありません。きっとこういう言い方で、未熟な若者=私を激励してくれたのだと今は理解しています。しかし、思い上がった若者である私は、その時、即座に役者としてあなたの劇に出ることをお断りし、こんな逆提案をしました。
 
「ぼくは役者になる気はないです。でも演劇には興味があるので、いずれ演劇は興行したいと思っています」。ほう、という表情をしたあなたに、好感を持ってもらえたと感じて、つぎのように言った!「ぼくはあなたの劇には出ないけれども、ぼくの劇には、芥さん、出てくれますよね?」
 
これ以上あつかましい出演依頼の言葉はなかったでしょう。あなたは笑って、「ああ、いいよ。出てやるよ」と即答なさった。
 
初対面で、どこの馬の骨か分からない人間。その人間のこれ以上あつかましい出演依頼に、即決で快諾の約束をなさった芥さんは、私にはいまもって英雄です。
 
それ以来、私の芥さんに対する敬意を示すには、芥さんが出演するに相応しい劇を用意して、出演依頼をする、そのこと以外にはないと思い続けてきました。
 
いま、そのようやく準備は整いました。私が今回上演する劇の内容に関しては、WEBを見て戴くのが、一番手っ取り早いかなと・・・・。こちらです。⇒ 【断トツに面白いダンスポ】

内容検ご討の上、あの時の私との約束を実行するご意志・ご用意が、あるかどうか、お知らせ下さい。このようにお聞きするのは、たとえそのご意志があっても、健康上の理由とか、WEB使用できる環境にないとか、プライベートな条件がクリアできるかどうかは別問題と考えるがゆえです。誤解なきようお願いします。
                      ダンボールこと川端秀夫拝
 芥正彦様

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】霊告【  すべての肉体に新しいダンスを!  芥正彦

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