綿打ちではないが、何かを干しているところ
馬場の外国詠 21(2009年9月)【牛】『ゆふがほの家』(2006年刊)94頁~
参加者:S・S、曽我亮子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:曽我 亮子 司会とまとめ:鹿取 未放
168 ぴんぴんと綿打つ職人大道に出て朝を打つ鋭(と)き光打つ
(レポート)
張りつめた朝の空気を震わせて、大通りで綿を打つ職人たちのひたむきさ、きりりと引き締まったカトマンズの朝のすがすがしさが活写されている。(曽我)
(当日意見)
★綿の実の殻を破っているところ。(慧子)
(まとめ)(2009年9月)
ネパールでは織物が盛んだそうだが、綿花はほとんどインド等からの輸入に頼っているようだ。職人とあるから、大量に輸入した綿を大道に広げて仕事をしているのだろうか。ネパールは亜熱帯で馬場の旅した11月でも朝から光線が強いのである。「朝を打つ鋭(と)き光打つ」と強い光の中できびきびと仕事をしている男たちの姿をよく捉えている。(職人とあるから男なのだろう。)
余談だが、公道で平気で仕事をしている光景をよく見かけた。家の前で麦を干しているのも、自分の背丈ほどもある草を背負っているのも、大勢で畑を耕しているのも私が見たのは皆女性だった。また、女性たちは裾の長い特有の衣装を着ていて、汚れるだろうなあとはらはらした。この国では男は働かないのかと思ったほどだが、カトマンズの大通りを大きなベッドのマットを一人で担いで運んでいる人を見かけた。より重労働が男性の分担だったのだ。ベッドを担いだ人は裸足だったが、カトマンズでも2割くらいの人が裸足だった気がする。あれから10年経ったが、経済状況が改善されて、庶民が暮らしやすくなっているといいのだが。(鹿取)
(まとめ)(2015年5月)
ネパール在住の方のツイッターによると、麦の脱穀の手間を省くため、麦を道いっぱいに広げて通る車に轢かせる光景をよく見かけるという。綿は土がついたら困るから、そうはいかないだろう。(鹿取)