渡辺松男研究2の31(2020年1月実施)
Ⅳ〈夕日〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P156~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
241 空よりも近きに明日のあるぶきみ団地のなかへ夕日が落ちぬ
(レポート)
作者は、空よりも近くに明日があるのがぶきみだという。そして団地のなかへ
夕日が落ちた。空という空間と、明日という時間を比べる発想が面白い。作者にとっては、空間や時間のような領域を取り払ってしまう事が、簡単にできてしまうのだろう。作者は、団地を見渡せる高台のようなところに居るのかもしれない。時刻は夕方。その団地に夕日が落ちていくのを見ていると、日が暮れてまた明日が来ることを思ったのだろう。空よりも明日が近くにあるのだ。それが、上句の最後の「ぶきみ」につながったように思う。(岡東)
(紙上参加)
そうだ、そういわれればたしかに、ぶきみ。
夕日は海や山際に落ちていくと、あの向こうに明日があるという感じがしてしみじみするが、団地の真ん中におちるというのはすぐそこに明日があるみたいで怖い。不気味という言葉をひらがなにすることで、鋭さよりも生々しい実感が伝わってきて、効いていると思う。(菅原)
(レポート)
★「明日のある」の読みは「あした」ですか?(岡東)
★「ちかきにあしたの」だと8音になるので「あす」だと思います。なるほど、岡
東さんのレポートだと団地を見渡せる高台にいる設定なのね。「団地のなかへ夕
日が落ちぬ」が腑に落ちなかったけど、そういう視点ならわかります。(鹿取)
★時間というものはここでは永遠を示唆しているのでしょうか。永遠というものを
考えたときの果てしの無い不気味さなのでしょうか。空間よりも時間が怖いとい
うことでしょうか。よく分からないのですが。(A・K)
★私は子供の頃死ぬことが怖かったのですが、夫は宇宙が無限だと聞くと怖かった
そうです。この歌も永遠の時間がはるか彼方にあるのではなくて、ここに地続き
にあることの怖さなんじゃないでしょうか。(泉)
★大江健三郎もどこかで同じようなこと書いていましたね、授業で宇宙の永遠性を
習って卒倒しそうになったって。でも宇宙論で言うと時間と空間というのはある
ところでおなじものらしいです。(鹿取)
★カールブッセの詩みたいに山の向こうに明日があるとおもっていたのに、すぐそ
こに団地に明日があった、その怖さ。(慧子)
★団地の中に夕日が落ちたから怖いんですか?それだとつまらない気がするけど。
ぶきみって言葉選びが独特ですね。怖いとか恐怖じゃないんですよね。(A・K)
★○○が無いぶきみ、だと普通だけど、○○があるぶきみってすごいですよね。(泉)
★もう一つわかりきらないのですが、何かあるのでしょうねえ。「落ちぬ」って完
了も少し違和感があるし。(鹿取)
★この一連、口、口、落ちる、落ちると続いているんですね。(A・K)
Ⅳ〈夕日〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P156~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
241 空よりも近きに明日のあるぶきみ団地のなかへ夕日が落ちぬ
(レポート)
作者は、空よりも近くに明日があるのがぶきみだという。そして団地のなかへ
夕日が落ちた。空という空間と、明日という時間を比べる発想が面白い。作者にとっては、空間や時間のような領域を取り払ってしまう事が、簡単にできてしまうのだろう。作者は、団地を見渡せる高台のようなところに居るのかもしれない。時刻は夕方。その団地に夕日が落ちていくのを見ていると、日が暮れてまた明日が来ることを思ったのだろう。空よりも明日が近くにあるのだ。それが、上句の最後の「ぶきみ」につながったように思う。(岡東)
(紙上参加)
そうだ、そういわれればたしかに、ぶきみ。
夕日は海や山際に落ちていくと、あの向こうに明日があるという感じがしてしみじみするが、団地の真ん中におちるというのはすぐそこに明日があるみたいで怖い。不気味という言葉をひらがなにすることで、鋭さよりも生々しい実感が伝わってきて、効いていると思う。(菅原)
(レポート)
★「明日のある」の読みは「あした」ですか?(岡東)
★「ちかきにあしたの」だと8音になるので「あす」だと思います。なるほど、岡
東さんのレポートだと団地を見渡せる高台にいる設定なのね。「団地のなかへ夕
日が落ちぬ」が腑に落ちなかったけど、そういう視点ならわかります。(鹿取)
★時間というものはここでは永遠を示唆しているのでしょうか。永遠というものを
考えたときの果てしの無い不気味さなのでしょうか。空間よりも時間が怖いとい
うことでしょうか。よく分からないのですが。(A・K)
★私は子供の頃死ぬことが怖かったのですが、夫は宇宙が無限だと聞くと怖かった
そうです。この歌も永遠の時間がはるか彼方にあるのではなくて、ここに地続き
にあることの怖さなんじゃないでしょうか。(泉)
★大江健三郎もどこかで同じようなこと書いていましたね、授業で宇宙の永遠性を
習って卒倒しそうになったって。でも宇宙論で言うと時間と空間というのはある
ところでおなじものらしいです。(鹿取)
★カールブッセの詩みたいに山の向こうに明日があるとおもっていたのに、すぐそ
こに団地に明日があった、その怖さ。(慧子)
★団地の中に夕日が落ちたから怖いんですか?それだとつまらない気がするけど。
ぶきみって言葉選びが独特ですね。怖いとか恐怖じゃないんですよね。(A・K)
★○○が無いぶきみ、だと普通だけど、○○があるぶきみってすごいですよね。(泉)
★もう一つわかりきらないのですが、何かあるのでしょうねえ。「落ちぬ」って完
了も少し違和感があるし。(鹿取)
★この一連、口、口、落ちる、落ちると続いているんですね。(A・K)