シャンン農場、鞴で火をおこす
ブログ版馬場の外国詠 18
09年5月)【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)89頁~
参加者:K・I、N・I、佐々木実之、曽我亮子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:N・I 司会とまとめ:鹿取 未放
146 ムスタンのシャン農場の鍛冶男まづ火を生めり鞴を引きて
(レポート)
現代においても火を起こすことは神聖な事、その地にあってはなお鞴を使う火の色にも懐かしく思われたのではと思います。(N・I)
(まとめ)
ムスタンとはジョムソンを含む広域の名称。標高2700メートルのジョムソンに近藤亨氏が代表するNPO法人が運営しているシャン農場がある。全て自給自足で、農場で使う様々なものを手作りしていたのだろう。農場の一画にある鍛冶の現場も見学させてもらったが、鞴で火をおこしているところだった。戦後の田舎育ちの私は鞴というものをここで初めて見たが、馬場には懐かしい風景だったのだろう。「火を生めり」というのが、いかにも厳かで力強い描写だ。感嘆の声を上げながら見ている作者が見えるようだ。アフリカで馬場が詠んだ次の歌が参考になる。(鹿取)
われ昔鍛冶屋の友ありその祖父の打つ鎌の火を見てうやまひき『青い夜のことば』