2023年版 渡辺松男研究13【寒気氾濫】(14年3月)まとめ
『寒気氾濫』(1997年)48頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:崎尾廣子 司会と記録:鹿取 未放
112 みはるかす大気にひかる雨燕にわたくしの悲は死ぬとおもえず
(レポート抄)
鳥の中で最も空中飛行に適した形をもつ(言泉・小学館)とある雨燕。(崎尾)
(当日発言)
★「ひかる雨燕」と「わたくしの悲」はイコールじゃないかと思いました。そして「ひ
かる雨燕」はとても愛しいものに思えたのでそれが死ぬとは思えなかった。(慧子)
★僕も慧子さんと同じような意見です。普通は死って強いマイナスの言葉だけど、この
場合だとこの悲しみはとても深いものがあって、人生の本質みたいなものに繋がる感
じ、永遠に残るような悲。(鈴木)
★私は雨燕とわたくしの悲は同じとは思えない。雨燕を見ながら私の悲は小さいものだ
と思っているのかなあ。(藤本)
★私は最終的には雨燕と「わたくしの悲」は同じでもかまわない。遠くの方で飛んでい
る雨燕が光って見える。その雨燕は生へのあこがれとかいとおしみとかを呼び起こ
す。そして「死ぬとおもえず」といっている「わたくしの悲」はそんなに嫌なものじ
ゃなくて、この「悲」と共に生きていくんだというわりと昂揚した気分かなあと。も
うひとつ核心がつかめない気もするんだけど、大好きな歌です。(鹿取)
★この悲って両方とれるんですよね。いとおしいという気持ちと、この悲をなくしたい
という気持ちと。次の歌(重力の自滅をねがう日もありて山塊はわが濁りのかたち)
を読むとこの悲は「濁りのかたち」のようにも思えてくるし。でもこの悲をなくした
いという歌だとつまらないし。(鈴木)
★でも112の歌に限っていうと、雨燕を見てとても浄化された気分になっているよう
に思えます。見て、といってもやっぱり対象化しているのとは違うので、そういう意
味で慧子さんのいうように燕イコール私でもかまわない。(鹿取)
『寒気氾濫』(1997年)48頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:崎尾廣子 司会と記録:鹿取 未放
112 みはるかす大気にひかる雨燕にわたくしの悲は死ぬとおもえず
(レポート抄)
鳥の中で最も空中飛行に適した形をもつ(言泉・小学館)とある雨燕。(崎尾)
(当日発言)
★「ひかる雨燕」と「わたくしの悲」はイコールじゃないかと思いました。そして「ひ
かる雨燕」はとても愛しいものに思えたのでそれが死ぬとは思えなかった。(慧子)
★僕も慧子さんと同じような意見です。普通は死って強いマイナスの言葉だけど、この
場合だとこの悲しみはとても深いものがあって、人生の本質みたいなものに繋がる感
じ、永遠に残るような悲。(鈴木)
★私は雨燕とわたくしの悲は同じとは思えない。雨燕を見ながら私の悲は小さいものだ
と思っているのかなあ。(藤本)
★私は最終的には雨燕と「わたくしの悲」は同じでもかまわない。遠くの方で飛んでい
る雨燕が光って見える。その雨燕は生へのあこがれとかいとおしみとかを呼び起こ
す。そして「死ぬとおもえず」といっている「わたくしの悲」はそんなに嫌なものじ
ゃなくて、この「悲」と共に生きていくんだというわりと昂揚した気分かなあと。も
うひとつ核心がつかめない気もするんだけど、大好きな歌です。(鹿取)
★この悲って両方とれるんですよね。いとおしいという気持ちと、この悲をなくしたい
という気持ちと。次の歌(重力の自滅をねがう日もありて山塊はわが濁りのかたち)
を読むとこの悲は「濁りのかたち」のようにも思えてくるし。でもこの悲をなくした
いという歌だとつまらないし。(鈴木)
★でも112の歌に限っていうと、雨燕を見てとても浄化された気分になっているよう
に思えます。見て、といってもやっぱり対象化しているのとは違うので、そういう意
味で慧子さんのいうように燕イコール私でもかまわない。(鹿取)