2023年版 渡辺松男研究13【寒気氾濫】(14年3月)まとめ
『寒気氾濫』(1997年)48頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:崎尾廣子 司会と記録:鹿取 未放
114 火口原わが耳となるすずしさよ夏の夜深く落石つづく
(レポート)(崎尾)
火口原:複式火山で、外輪山と中央火口丘との間に広がる平地。箱根の仙石原、阿
蘇山の阿蘇谷、南郷谷など。
(当日発言)
★作者はどこにいるんですかね。火口原のホテルかなんかにいて落石の音を聞いている
んでしょうか。(鈴木)
★火口原って広いところですよ。パンフ持ってきましたが。昔の噴火が火口原になった
んだから今落石しているはずはない。夜出ていくこともないので、部屋にいて自分の
耳がすずしさを誘い、昔むかしの落石を耳が聞いている。(藤本)
★火口原自体がわが耳になるのではなくて、「火口原」の後に切れがある読みですね。
すずしさ、というのは精神的なある気分で、渡辺さんの歌には遙かなもの、化石の歌
とかによく使われるキーワードですよね。私は夜中火口原にいたら、静かなので他で
起こっている落石の音が聞こえると思いましたが、はるか昔の幻聴を聞いていると取
ることもできますね。(鹿取)
★耳となるというからには落石の音はどこかから聞こえているのでは。これが幻聴とい
うことになると、歌全部が幻想になる。実感したものを元にしないと。作者がどこに
いるかでこの歌のリアリティが違ってくる。(鈴木)
★歌の設定の中では真夜の静寂の中で落石の音を耳が拾っている。それが幻聴か実際の
音かはどちらでもかまわないと思う。「火口原」で切れると読むと、やはり作者の位
置は火口原しかない。火口原は仙石原のように広い範囲なんだから、戸外にいなくて
も、ホテルの部屋にいても「火口原」ではあるわけですね。とても詩的でスケールの
大きい言葉だけれど。(鹿取)
★僕は火口原が耳の形をしているんだと思います。(鈴木)
★鈴木さんのように読んだら歌としてはつまらない気がするけど。(藤本)
『寒気氾濫』(1997年)48頁~
参加者:崎尾廣子、鈴木良明、藤本満須子、渡部慧子、鹿取未放
レポーター:崎尾廣子 司会と記録:鹿取 未放
114 火口原わが耳となるすずしさよ夏の夜深く落石つづく
(レポート)(崎尾)
火口原:複式火山で、外輪山と中央火口丘との間に広がる平地。箱根の仙石原、阿
蘇山の阿蘇谷、南郷谷など。
(当日発言)
★作者はどこにいるんですかね。火口原のホテルかなんかにいて落石の音を聞いている
んでしょうか。(鈴木)
★火口原って広いところですよ。パンフ持ってきましたが。昔の噴火が火口原になった
んだから今落石しているはずはない。夜出ていくこともないので、部屋にいて自分の
耳がすずしさを誘い、昔むかしの落石を耳が聞いている。(藤本)
★火口原自体がわが耳になるのではなくて、「火口原」の後に切れがある読みですね。
すずしさ、というのは精神的なある気分で、渡辺さんの歌には遙かなもの、化石の歌
とかによく使われるキーワードですよね。私は夜中火口原にいたら、静かなので他で
起こっている落石の音が聞こえると思いましたが、はるか昔の幻聴を聞いていると取
ることもできますね。(鹿取)
★耳となるというからには落石の音はどこかから聞こえているのでは。これが幻聴とい
うことになると、歌全部が幻想になる。実感したものを元にしないと。作者がどこに
いるかでこの歌のリアリティが違ってくる。(鈴木)
★歌の設定の中では真夜の静寂の中で落石の音を耳が拾っている。それが幻聴か実際の
音かはどちらでもかまわないと思う。「火口原」で切れると読むと、やはり作者の位
置は火口原しかない。火口原は仙石原のように広い範囲なんだから、戸外にいなくて
も、ホテルの部屋にいても「火口原」ではあるわけですね。とても詩的でスケールの
大きい言葉だけれど。(鹿取)
★僕は火口原が耳の形をしているんだと思います。(鈴木)
★鈴木さんのように読んだら歌としてはつまらない気がするけど。(藤本)