かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 180

2024-01-11 10:37:31 | 短歌の鑑賞
 2024年版 渡辺松男研究22(2014年12月)
      【非常口】『寒気氾濫』(1997年)75頁~
      参加者:S・I、泉真帆、崎尾廣子、鈴木良明、
          曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
       レポーター:S・I   司会と記録:鹿取 未放



180 自殺してしまいし友は鷲っ鼻ビール飲む目のやさしかりにし

      (レポート)
 氏にしては平明でわかりやすい作品。唐突に自らの命を絶ってしまった友への悔恨の情、慟哭の思いがストレートに伝わってくる。鷲っ鼻の友は、堅固な強い意志を持った人格を想像させる。きっとビールを飲みながら、議論を交わしたのであろう。ふと垣間見た目のやさしさ…自殺した友の思いが哀切である。(S・I)


     (当日意見)
★ここまで詠えるようになるには、自殺してからかなりの年月が経っているのかなと
 思いました。闇のテーマの中にどうしてこの自殺した友の一首があるのか不思議で
 した。(真帆)
★同じような歌が並ぶと緊張感が走りますが、このような歌が入っているのは歌集の
 バランスを考えられたのかなと。(S・I)
★友達の心の闇だから同じだと思いました。簡単な歌じゃないと思う。(鈴木)
★組織の中で清濁併せ呑みつつ生きた人が自殺したとか。(真帆)
★同じテーマでも渡辺さんはいろんな角度から詠んでいるから面白い。(鈴木)

コメント
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