かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 279

2024-06-22 09:46:47 | 短歌の鑑賞
     2024年度版 渡辺松男研究34(16年1月)
       【バランスシート】『寒気氾濫』(1997年)115頁~
        参加者:S・I、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
        レポーター:渡部 慧子  司会と記録:鹿取 未放
   

279 鉄を打ち抜くは鉄なり工場にプレスもっとも孤独な機械

      (レポート)
 鉄を打ち抜くのはプレスと呼ばれる鉄製機械であって、様々な作業用機械のある工場でもっとも孤独な機械だという。同胞あいあわれむという意味の逆を詠ったのだろう。
  (慧子)


       (当日意見)
★「同胞あいあわれむという意味の逆を詠った」ってどういう意味ですか?(鈴木)
★違うもので鉄を打ち抜くなら普通だけど、同じもので打ち抜くのは淋しい。(慧子)
★そういう意味なら同感です。(鈴木)
★人間と人間が闘うのは淋しくて、人間と猿だったら淋しくないかというとそうではな
 いから、それはちょっとと思いますが。プレスという機械は鉄で出来ているのに、鉄
 を切り抜くことができる。戦いのたとえで言えばプレスは勝者ですが、そういう孤高
 の孤独に斬り込んでいる、哲学的な歌ですね。(鹿取)
★あくまでも物質に収斂させての話です。(S・I)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする