2024年度版 馬場あき子の外国詠46(2011年12月実施)
【氷河鉄道で行く】『太鼓の空間』(2008年刊)167頁~
参加者:K・I、N・I、鹿取未放、崎尾廣子、曽我亮子、
たみ、藤本満須子、渡部慧
336 風景は人間を抱き暮れゆけどグリンデンワルドの山夜を圧倒す
(まとめ)
335番歌(氷河渉るマンモスの足の重さもて佇めば襲ひくる白きアイガー)の続きで、夜の暗闇にそびえ立つグリンデンワルドの山が覆いかかるような怖さを感じたのだろう。もちろん、民家やホテルに明かりは点いているが、人工の明かりなどは遙かに凌駕した圧倒的な山の力なのだろう。(鹿取)
(レポート)
「グリンデンワルド」はアイガーの麓に広がる小さな村。上の句の韻律に子守歌を聞くような心地よさを覚える。またアルプスの少女ハイジをも連想する。眺めるままに陽が落ちると風景ががらりと変わったのであろう。高峰がより高々と間近に迫り村を囲む峰峰もずっと近く目に映ったのであろう。怖ささえも感じたであろう作者の驚きが感じられる。雄大な自然の前では村も人も小さな存在でしかないと詠っているのであろう。(崎尾)
(当日意見)
★山は一つの山ではない。街は人間くさいところで、人間のいとなみと自然を対比し、自然への畏敬を 詠っている。(N・I)
★グリンデンワルドという固有名詞が際だっている。(慧子)
★人間の営みとか業を拒絶して山は屹立している。自然の山の前では人間は何ものでもない。上の句との対比で下の句の怖さがよけいに際だっている。(たみ)
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