かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男『寒気氾濫』の一首鑑賞 359

2024-12-14 09:32:52 | 短歌の鑑賞

 2024年度版 渡辺松男研究43(2016年10月実施)
   寒気氾濫』(1997年)【半眼】P146~
   参加者:泉真帆、M・S、鈴木良明、曽我亮子、渡部慧子、鹿取未放
      レポーター:泉 真帆     司会と記録:鹿取 未放          

 

 

359 白蓮(はくれん)の花咲くしたで待つこころ行き違いさえみずみずとして

             (レポート)
 ハクモクレンの花は、葉の出る前に花だけが咲く。曇り日であれば幻想的だし、青空の日なら白い鳥か蝶がいっぱいとまっているような楽しさがあるだろう。前の歌(口中に咽飴まろくとけてゆきわがうつそみはうつそみを恋う)でうつし身の春のめざめを詠んだが、心の方は体と違い恋人との行き違いでさえ瑞々しく感じているというのだ。(真帆)

      
           (当日意見)
★「行き違いさえみずみずとして」という言い方が魅力的だと思いま

 す。普通は行き違いには何だと嫌 になるけど、春だからそれさえ

 みずみずとしている、美しい白蓮の下の春の気分がよく出ていると

 思います。(鈴木)


★清らかな白蓮の下で恋人を待つだけだと、甘い歌謡のようになりま

 すが、「行き違い」を入れたこと で甘さが抑えられて、歌に奥行

 きが出たように思います。(鹿取)

 


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