かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

清見糺の一首鑑賞  51

2020-08-08 19:37:29 | 短歌の鑑賞
  ブログ版清見糺研究      モロッコ紀行
      参加者:田村広志、寺戸和子、T・K、T・H、鹿取未放
      まとめ:鹿取未放      

51 少年が蹴りながら行く石ころの元気よければわれも蹴とばす
                  「かりん」97年3月号 
               
★老いへ向かう内部の淋しさ。(田村)
★「元気よければ」は仮定法。確定・仮定両方の解釈が出るのは言葉が不
  安定だから。(寺戸)

 この歌を仮定と解釈するのは、教育勅語の「一旦緩急アレハ」の間違いと同根の文語・口語の混同による勘違いだろう。教育勅語は明らかに文語脈だから、「アレバ」(已然形+「ば」)は確定条件である。しかしそれでは文意が通じない。「アラバ」(未然形+「ば」)とすれば「仮に緊急事態が生じたならば」とすんなり意味が通るのである。
 清見氏は文法に精通していて、厳格に使用していたので、作者が間違えたということはありえない。内容からいってもこの歌の「元気よければ」は明らかに確定だろう。「もし元気が良かったならば、私も蹴飛ばすのだ」では意味が通らない。少年が蹴る石ころが元気がよかったので自分も真似て蹴ってみたのである。「蹴とばす」が、いかにも勢いよく飛んでいく感じがあって楽しい。(鹿取)
 

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