2023年度版渡辺松男研究2の31(2020年1月実施)
Ⅳ〈夕日〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P156~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
244 待合室にいつまでも名を呼ばれねば待合室に鰈がおよぐ
(当日意見)
★私は待合室の空間を鰈が泳いでいるのだと思います。〈われ〉はそれを見ている
んですね。待ちくたびれて所在なくいると、あの寄り目の鰈がふわふわと待合室
の空間を泳いでいたって、面白いじゃないですか。(鹿取)
★待たされている嫌な感じを鰈がよく出していますね。(A・K)
★さっき連作という話が出ましたが、この連の最初はビールの泡の中を泳いでいて、
ここは鰈が待合室を泳いでいる。(泉)
(レポート)
鰈はなじみのある魚だが、あらためて考えてみると、特異な形状をしている。広辞苑から部分引用すると「体は扁平で卵形、頭部はねじれて、眼は普通体の右側に集まる(ふ化後40日め)」とある。一方、作者は病院かどこかの待合室にいる。待っていても、いつまでも名を呼ばれない。このような状況の時、待合室の中を首をねじらせて見回して、自分より先に来ていた人があと何人か数える。この様子を鰈にたとえたのではないだろうか。鰈は海底近くを這うように泳ぐことからも、面白い比喩だと思う。「待合室」を2回使っているのは、待たされる時の忍耐力にこだわっているのだろうか。日常的な事をエスプリを効かせて詠うところは、さすがだと思う。(岡東)
(紙上参加)
なるほど、鰈か、ぴったりだ。たぶん、病院の待合室で順番を待っているときの不安で所在ない感じを表したのだろう。鯖だの鰯だの鰤などでは元気よくビュンビュンしすぎていてあわない。蛸やウツボでは怖すぎる。地味で平べったくて、ふわっと泳ぐ鰈の感じが、ちょうどいいのかもしれない。上手ですね。(菅原)
Ⅳ〈夕日〉『泡宇宙の蛙』(1999年)P156~
参加者:泉真帆、岡東和子、A・K、菅原あつ子(紙上参加)、
渡部慧子、鹿取未放
レポーター:岡東和子 司会と記録:鹿取未放
244 待合室にいつまでも名を呼ばれねば待合室に鰈がおよぐ
(当日意見)
★私は待合室の空間を鰈が泳いでいるのだと思います。〈われ〉はそれを見ている
んですね。待ちくたびれて所在なくいると、あの寄り目の鰈がふわふわと待合室
の空間を泳いでいたって、面白いじゃないですか。(鹿取)
★待たされている嫌な感じを鰈がよく出していますね。(A・K)
★さっき連作という話が出ましたが、この連の最初はビールの泡の中を泳いでいて、
ここは鰈が待合室を泳いでいる。(泉)
(レポート)
鰈はなじみのある魚だが、あらためて考えてみると、特異な形状をしている。広辞苑から部分引用すると「体は扁平で卵形、頭部はねじれて、眼は普通体の右側に集まる(ふ化後40日め)」とある。一方、作者は病院かどこかの待合室にいる。待っていても、いつまでも名を呼ばれない。このような状況の時、待合室の中を首をねじらせて見回して、自分より先に来ていた人があと何人か数える。この様子を鰈にたとえたのではないだろうか。鰈は海底近くを這うように泳ぐことからも、面白い比喩だと思う。「待合室」を2回使っているのは、待たされる時の忍耐力にこだわっているのだろうか。日常的な事をエスプリを効かせて詠うところは、さすがだと思う。(岡東)
(紙上参加)
なるほど、鰈か、ぴったりだ。たぶん、病院の待合室で順番を待っているときの不安で所在ない感じを表したのだろう。鯖だの鰯だの鰤などでは元気よくビュンビュンしすぎていてあわない。蛸やウツボでは怖すぎる。地味で平べったくて、ふわっと泳ぐ鰈の感じが、ちょうどいいのかもしれない。上手ですね。(菅原)
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