今日12月6日(日)、新宿バルト9で、「剣岳 撮影の記 ー標高3000メートル 激闘の873日」を観てきました。
それに先立つ6ヶ月前、映画「剣岳 点の記」は封切られ、230万人余りを動員したそうです。監督は木村大作さん。原作は新田次郎「点の記」。明治末期、日本地図の、「最後の空白地点」と言われた富山県の立山連峰・剣岳登頂に挑んだ測量隊の苦悩を描いた物語です。実話に基づく新田次郎の同名の作品の映画化。
同世代の方の何人もがこの映画を観に劇場に足を運んだと聞かされました。「明治時代」の”地上の星”達の物語が好きな人は多いと思います。
監督は木村大作さん、初めての監督作品です。それまではカメラマンとして「八甲田山」や「鉄道屋(ぽっぽや)」等の撮影で活躍。一大決心をして、「点の記」映画化を志します。剣岳の荘厳な姿を眼にしたとき映画制作の決心が固まったそうです。と同時に撮影の困難さも覚悟したことでしょう。
その木村監督の壮絶なまでの決心を知ったフリー映像作家、大澤嘉工(よしのり)さんは、「押しかけ」で長期の山岳ロケに同行し、映画つくりのさまをドキュメンタリー映画に仕上げた作品が「剣岳 撮影の記」なのです。
木村監督が創る作品が「剣岳登頂に挑んだ測量隊の苦闘を描いた」ドラマに対し、大澤監督の手になる作品は「困難な中で撮影を敢行する映画隊」のドキュメンタリー、という構造を持ち、その撮影は同時進行的に進められ、「点の記」は既に公開されたものの、こちらのドキュメンタリーはこの12月漸く封切られたというわけです。
映画の冒頭のナレーション「天空の彼方で、前人未踏の撮影が繰り広げられた」が全てを物語ります。スタッフも俳優も30キロはある機材等を背負って明け方から何時間も歩いて撮影現場に到着し、到着後初めて撮影は開始されるのです。劔山頂での撮影も、晴れて来なければ、その日の撮影は諦めて、虚しい思いで前線基地まで戻り、又の機会を待たねばなりません。撮影中に落石が頭部を襲い、重傷を負ってヘリコプターで空送される仲間もでます。
幾多の困難を乗り越えて、劔山山頂での撮影を終えると、期せずして万歳三唱が。胸に迫り来るものがあります。涙もろくなっている身ですが、「点の記」そのものよりもジンと来る場面が多くありました。
かって山仲間4人と「早月尾根」から頂上を目指した剣岳、思い出深い山です。折りしも12月11日には「点の記」のDVDが販売されるとの事。レンタルするか購買して、心ゆくまで剣岳風景を味わいたいと思っています。