マーちゃんの数独日記

かっては数独解説。今はつれづれに旅行記や日常雑記など。

『静嘉堂文庫美術館 東洋絵画の精華展』を観る

2012年05月06日 | 映画・美術・芝居・落語

 4月30日(月)、『静嘉堂文庫美術館』を訪れ、「東洋絵画の精華展」を観て来ました。ここの美術館を家人は何度か訪れていますが、私は初めて。静嘉堂緑地と呼ばれる素晴らしい環境の中にありました。
 田園都市線二子玉川駅からは「美術館」行きのバスで10分程度。終点で下車し、坂を少し上りつめた小高い丘の上に美術館はありました。



 この辺り、もとは岩崎家が所有する庭園のあった所。静嘉堂は三菱第二代社長岩崎彌之助及び第四代社長岩崎小彌太の父子二代によって設立され、およそ20万冊の古典籍と、6500点の東洋古美術品を収蔵しているそうです。(写真:花壇を前景にした静嘉堂文庫美術館)







 
 それら古美術品の中から、今回は「東洋絵画の精華」展が2回に亘って開かれ、4月14日~5月20日までの第1回が「珠玉の日本絵画コレクション」。更に4月30日には「MIHO MUSEU
M」館長辻惟雄さんの講演が予定されていました。「MIHO MUSEUM」には3年前に訪れ、辻惟雄氏の業績も知りました。辻氏の著作を何冊か読んだ家人の強い希望もあってこの日の鑑賞となったのでした。

 受講者は150名に制限され、定刻40分前に整理券が配られました。私たちは13番と14番。お陰で前から2列目の席で講演を聞くことが出来ました。テーマは「岩崎コレクションの日本絵画」。話の冒頭で、先生は三菱四代に亘る歴代社長の名前を間違えますが、会場からは温かい笑いが。続いて彌之助と小彌太のコレクションが紹介され、主として今回展示の数々について、大型画面に映像を映しながら細かい説明がなされました。

 作品について事前にレクチャーを受けての作品鑑賞。祈りの美ーーとしては「如意輪観音像」や「熊野曼荼羅」が、華麗なる江戸絵画ーーとしては狩野派や琳派の作品が展示されていましたが、特に印象に強く残ったのは、酒井抱一作「波図屏風」及び「四条河原遊楽図屏風」と「平治物語絵巻 信西巻」です。

 NHK大河ドラマでも存在感の増して来た信西、その最後の場面が絵巻の上で展開されます。もはやこれまでと自害し、郎党によって埋められた信西の遺体。源光保らはその遺体を掘り出し、首を切り落とします。切り取った首を薙刀に掲げ、都で首実検。短い絵巻ですが、重点が実にリアルに描かれています。恐らく大河ドラマでは暗示で済ませて仕舞う場面を鑑賞したのでした。

 環境に恵まれ、国宝7点を含む素晴らしいコレクション。何度も訪れたくなる美術館でした。