2月7日(金)、千葉市立美術館に出かけ”江戸の面影”と題する実に多くの浮世絵を観てきた。その数272点。その殆どが千葉美所蔵作品だから、この美術館の浮世絵蒐集は凄い。
章立てを見るとどんな浮世絵が展示されていたのか一目瞭然である。
プロローグ 江戸の繁栄
第一章 吉原の粋
第二章 江戸の盛り場
第三章 江戸娘の闊達さ
第四章 歌舞伎への熱狂と団十郎贔屓
第五章 江戸っ子の好奇心
第六章 愛しき日常と子どものパラダイス
第七章 花を愛でる人々
第八章 富士の絶景
エピローグ 江戸の面影
一概に江戸時代といても265年の長期にわたる。浮世絵は、その長い江戸時代のその時々に流行したものを描いて、時の人々の関心を引き、高度な木版画技法=錦絵によって安価に広く普及してきた。多くの大衆を享受者に巻き込んだ、世界でも珍しいこの芸術を、今回の企画では、面白い形式で私たちに伝えてくれる。
すなわち、幕末~明治初期に来日した外国人達の旅行記や、江戸時代の狂歌や随筆を手掛かりにして、浮世絵が表現してきた事柄を解き明かしてくれる。例えば吉原に象徴される”性をひさぐ”女性たちが、蔑みを持って描かれてはいないことは外国人から見て驚きであったらしい。又、時計(だったか?)を持った外国人をみて、混浴の銭湯から全裸で飛び出してきた男女を見たときの驚きも語られているが、そこから日本人の持つおおらかさを感じた様子が書かれている旅行記もある。
私的感想だが、私の知っている多くの世界が、目の前に登場することが、浮世絵を見る大きな喜びだ。飛鳥山の花見が、隅田川の花火が、七福神が、両国の風景が、山王祭が、芝居小屋が、市川団十郎が、あの景清が、富士山等々が登場する。江戸時代の人々がエネルギッシュに快楽を求めてあちらこちらを彷徨う様子が伝わってくる。江戸市民の日常が窺える。 特に面白かったのは鳥文斉栄之『三福神吉原通い図絵巻』だ。七福人のうち、福禄寿・恵比寿・大黒天の“三人“が、舟に乗るところから始まり、最後は花魁たちに囲まれての饗宴に至るまでの絵巻。楽しげに、浮かれる神様たち。彼らも吉原に憧れたという設定がユニークだ。
私が好きな鍬形斉(前名 北尾政美)の作品も数点展示され、特に登場人物数千人とも見える『東都繁昌図巻』と『江戸名所図会』を興味津々と眺めた。2時間近くの鑑賞。歩くより疲れることを実感。(写真:三福神吉原通い図絵巻より)
有難いことに、今回もチケットを家人の友人Fさんから頂いた。
往きは都営新宿線を利用し、帰りはJRを錦糸町で途中下車。「魚寅」で、お安いマグロぶつとタコぶつを買って帰ってきた。