雪と珊瑚と@梨木香歩
あらすじ(「BOOK」データベースより)
珊瑚、21歳。生まれたばかりの子ども。明日生きていくのに必要なお金。追い詰められた状況で、一人の女性と出逢い、滋味ある言葉、温かいスープに、生きる力が息を吹きかえしてゆくー。シングルマザー、背水の陣のビルドゥング・ストーリー。
できちゃった婚でシングルマザーの珊瑚。働かないと生きていけない切羽詰まった状況で偶然見つけた張り紙「赤ちゃん、お預かりします」 ここで年配の女性、くららと出会います。くららは子供を産んだことのない、元修道女。私はくららの魅力にひきつけられ、物語の前半すらすら読み進んでいきました。気持ちが温かく、おおらかで、でもしっかりした信念を持つ、料理上手なくらら。そんなくららと出会い、人との関わりを拒絶してきた珊瑚の気持ちが変わっていきます。赤ちゃんがいることで変わらざるを得ない状況でもありました。珊瑚自身は母親からネグレクトされ、「普通の家庭」を知らずに育っていて、頑固でくそまじめで融通が利かない人です。珊瑚がそうした自分の頑なさ、人からの助けは受けないというプライドと折り合いをつけていく物語です。珊瑚の育った環境、今の状況を思うと「頑張って」と応援したくなりそうなものですが‥ 私は何か違和感を感じました。くららと出会う前はバイト先のパン屋の夫婦や同じアパートに住む那美に助けられ大切に思われています。くららと出会ってからはくららはもちろん、たくさんの人たちに支えられ助けられ、総菜のお店を出し、成功します。すごく人間関係に恵まれています。物語の最後のほうで、珊瑚を慕う同僚に「うらやましい」と言われる珊瑚。元同僚に「大嫌いです」という手紙をもらう珊瑚。ここで私の違和感の元がわかりました。この「うらやましい」と「大嫌いです」の両方が私の心にあったのです。それを突き付けられ、私自身の心の狭さ、いやらしさを思い知らされました。現実にはそんなにうまくいくはずがないとも思いました。珊瑚の気持ちもあまり理解できませんでした。
それでも最後はなんだかじんわり、ほっこりした気分になりました。それからくららのお料理にも、心を温めてもらいました。
あらすじ(「BOOK」データベースより)
珊瑚、21歳。生まれたばかりの子ども。明日生きていくのに必要なお金。追い詰められた状況で、一人の女性と出逢い、滋味ある言葉、温かいスープに、生きる力が息を吹きかえしてゆくー。シングルマザー、背水の陣のビルドゥング・ストーリー。
できちゃった婚でシングルマザーの珊瑚。働かないと生きていけない切羽詰まった状況で偶然見つけた張り紙「赤ちゃん、お預かりします」 ここで年配の女性、くららと出会います。くららは子供を産んだことのない、元修道女。私はくららの魅力にひきつけられ、物語の前半すらすら読み進んでいきました。気持ちが温かく、おおらかで、でもしっかりした信念を持つ、料理上手なくらら。そんなくららと出会い、人との関わりを拒絶してきた珊瑚の気持ちが変わっていきます。赤ちゃんがいることで変わらざるを得ない状況でもありました。珊瑚自身は母親からネグレクトされ、「普通の家庭」を知らずに育っていて、頑固でくそまじめで融通が利かない人です。珊瑚がそうした自分の頑なさ、人からの助けは受けないというプライドと折り合いをつけていく物語です。珊瑚の育った環境、今の状況を思うと「頑張って」と応援したくなりそうなものですが‥ 私は何か違和感を感じました。くららと出会う前はバイト先のパン屋の夫婦や同じアパートに住む那美に助けられ大切に思われています。くららと出会ってからはくららはもちろん、たくさんの人たちに支えられ助けられ、総菜のお店を出し、成功します。すごく人間関係に恵まれています。物語の最後のほうで、珊瑚を慕う同僚に「うらやましい」と言われる珊瑚。元同僚に「大嫌いです」という手紙をもらう珊瑚。ここで私の違和感の元がわかりました。この「うらやましい」と「大嫌いです」の両方が私の心にあったのです。それを突き付けられ、私自身の心の狭さ、いやらしさを思い知らされました。現実にはそんなにうまくいくはずがないとも思いました。珊瑚の気持ちもあまり理解できませんでした。
それでも最後はなんだかじんわり、ほっこりした気分になりました。それからくららのお料理にも、心を温めてもらいました。