


あらすじ(「BOOK」データベースより)
吉原の大火、「つる家」の助っ人料理人・又次の死。辛く悲しかった時は過ぎ、澪と「つる家」の面々は新たな日々を迎えていた。そんなある日、吉原の大火の折、又次に命を助けられた摂津屋が「つる家」を訪れた。あさひ太夫と澪の関係、そして又次が今際の際に遺した言葉の真意を知りたいという。澪の幼馴染み、あさひ太夫こと野江のその後とは――(第一話「残月」)。その他、若旦那・佐兵衛との再会は叶うのか?料理屋「登龍楼」に呼び出された澪の新たなる試練とは…。雲外蒼天を胸に、料理に生きる澪と「つる家」の新たなる決意。希望溢れるシリーズ第八弾。





みをつくし料理帖シリーズ、とても好きな作品です。主人公・澪は人にも料理にも真摯で一生懸命で、涙もろい一方負けん気が強い頑固で男前なところもあります。そんな澪の周りには、澪と一緒に暮らしている気高い心を持ちつつ、いろんな苦難を乗り越えてきた芳、幼馴染で吉原にいる美しい野江、つる屋の主人で生粋の江戸っ子の種市、つる屋の看板娘(!?)りう、一緒につる屋で働く肝っ玉母ちゃんって感じのおりょうさん、患者のことを心から考える医師・源斉先生、口は悪いが実はするどい視点でいろんなことを読み取る清右衛門先生などなどなどなど、まだたくさんの素敵な人がいます。もちろん、イヤーな奴もたくさんいるんですが‥ そうそう料理帖というだけに、お料理の描写も読みごたえがあります。
シリーズ第8弾は、相手を思う気持ちや、心の痛みや、素敵なアドバイスなどに何度か涙腺がゆるみました。それぞれが進む道の方向を見つけた、そんな希望の光が差し込んだような1冊でした。みんなバラバラになっちゃうかもってちょっと心配も。でも相手を思う気持ちがあれば、居場所が違うようになって大丈夫なんだろうなと思います。もう一度シリーズ第1弾から読み直したい気持ちでいっぱいです!
1話ごとのちょこっと感想↓
残月―かのひとの面影膳 大切な人を亡くしたふきに種市が語る言葉に感動しました。
彼岸まで―慰め海苔巻 芳が紆余曲折の末、行方不明の息子と再会。芳の心が少しでも穏やかになるようにと願わずにはいられませんでした。
みくじは吉―麗し鼈甲球 澪と野江の再会。よかった‥ 澪がつる屋と離れ進む道筋を見つけたようで、それがどういう風になるか気になります。
寒中の麦―心ゆるす葛湯 芳が幸せになる! 芳の人柄ゆえのことだけど、本当によかった!