「知らないから行ったんだぁ。大変だったね。地面からの照り返しがあるし、ホコリも立つし、農作業の中でもキツイ仕事だよ。」
朝の河川敷自転車散歩で暫く見かけなかった農家出身のお爺さんに言われて納得した。この時期のイモ拾い作業である。
涼しい道東を自転車旅して帰ってきて、農作業支援登録している農協から依頼があり猛暑の中を出掛けた。この日、6日の朝のポタリングの河川敷は一面川霧が立ってひと時の納涼タイムであった。
初めてのイモ拾い。
トラクターで掘り出した早出しのイモをプラスチックケースに入れるという単純な作業だが、膝を折って根からイモをほろい落とし、“ズルように”前進しながらプラスチックのケースに入れてゆく。
体制を立て直すのにケースに手を掛け片手でイモを入れることもある。長時間膝を折っていると血行が悪くなるので時々胡座をかいて入れる。小さなイモを見落とすこともある。
N農家はそれを見逃さず許さない。「両手で入れてください!能率が悪くて終わりません!」経営の必死さはビンビンに伝わるが、稼業として長年やってきた作業を同じように素人のアルバイトに求めるのはどうなのだろう。
炎天下、砂ぼこりの作業環境でふと思った。学生時代のRugby夏合宿でさえ、レベルに合わせて練習メニューがあった。新入生にもレギュラー並みのことを求めてはシゴキ事故が起きるだけだ。
外国人労働者の境遇はいかばかりのものか。作業ロボットのように扱っては来る人も来なくなる。法律があれば良いというものではない。
一緒に作業していた年配の女性が就業終了の30分前に「プッツンしました。」と畑の隅に座ってしまった。たった一度の体験だが、この人手不足の時代、農家には作物栽培技術ばかりでない労務管理のノウハウ、意識も持って貰う取り組みが必要ではないか・・・と帰路についた。