![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/08/b2/89ba6cd662f2647eff4cc129e6a36999.jpg)
リコー三愛グループの創業者である市村清さんは企業家精神に満ちあふれた事業家です。
市村さんが銀座の三愛ビルを入手する際のエピソードをご紹介します。そこの土地の所有者である老婦人は、市村さんが再三再四、日参を重ねても老婦人は首を縦に振りませんでした。ある日、老婦人がはっきりと断るために市村さんの会社へ出かけたそうです。あいにくその日は雪が降って寒い日でしたが、和服姿に身を包んで老婦人は会社へ行き、来訪の旨を告げました。応対した女性事務員は雪にまみれて汚れてしまった老婦人の足袋に目が入りました。そして、その女性事務員は、「この寒い中、おいでいただきまして」と頭を下げて、「濡れた足袋はお帰りまでには乾かしておきますので、どうぞお脱ぎください」と言って代わりの物を身に着けさせ、社長室へと案内しました。この女性事務員の優しい気遣いが、それまで頑なだった老婦人の心を動かしました。「今日、お断りに来るつもりでした。さっきのお嬢さんのもてなしを受けて考えが変わりました。こんな社員がいるところならおかしな会社ではないでしょう。あなたにあの土地をおゆずりしましょう」
打算的ではない真のサ-ビスはお客様の記憶に刻まれます。思いやりのある人間は、お客様にとって印象深いものを残します。利益はあとからついてくるものです。
先義後利。忘己利他。
市村清さんが提唱した「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」という「三愛精神」はしっかりと社員に根付いております。