宙場館

市町村文化圏に住む、あるしがないアマチュア楽隊人の日々

人の縁

2005-03-05 23:55:00 | 日記・エッセイ・コラム
 会社の人事異動で3月度から静岡県の中東部地方を担当することとなった。中東部といっても静岡市と沼津市の間が抜けているので、西部地方にある事務所からは東名高速を使うことが不可欠になる。
 そんな中、3日の木曜日に東部地方のある市でユーザー訪問点検を手伝うことになり、職員さんに同行して訪れたお宅での話をしたい。
 そのお宅にあったのは20年以上昔のトラクター。主に使っているのは88歳のお爺さん。こう書くとボロボロの組み合わせのように思われるかもしれないが、どっこいお爺さんは若干耳が遠いものの、背筋はピンとし、足腰もしっかりしていて、とても90歳近くには見えない。トラクターも塗装こそ年式相応の劣化はしているが、エンジン、ミッション、サスペンションは十分機能していて、大事に使われていることが伺えた。何よりもエンジンフードを開けたところ、冬を越しているのにヘッドカバーの汚れはほとんど無く、冷却水は規定量で汚れ無し、バッテリーも充電されていて、どこぞの自動車評論家もどきとは大違いである。
 前の晩にカバーに積もった雪を払いのけ、庭の隅からトラクターを引き出し、点検にかかった。職員さんと分担し、エアクリーナエレメントを清掃し、オイル類を全て交換し、グリスアップとタイヤの空気圧を調整して点検を終えると、お婆さんが手作りの餅と沢庵、お茶を準備してくれ、一服と相成った。そして、ありきたりの世間話が始まったところ意外に話が弾み、自分の出身や妻の実家の話になってきた。
 妻の出身地を聞いたお婆さんが、お孫さんの高校時代の恩師が、妻の実家近くの出身で、そのお父さんが農機具店を経営している、という話をし出した。農機具店ということで自分には心当たりがあり、ひょっとしてと思いお名前を伺うと…先生は妻の幼なじみのお兄さんで、お父さんは義父の町内会仲間(爆)だということが分かった。
 県内とはいえ150km近く離れたところで初めて訪れたお客さんと自分と繋がりがあったとは…。驚くとともに、人の縁はどこで結びつくか本当に分からないことを改めて思い知らされた。こんな縁に逢えたおかげで、職員さんも気安く話してくれるようになり、その日の作業を順調に終えることができた。
 これからも人に接する仕事を生業としていく限り、この気持ちを忘れずにいたいものである。
追伸:お婆さんの餅と漬け物は逸品でした、はい。

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さらに追伸:先月からささやかながらあるSNSに日記をアップしている。今後は並行してアップするため、2月から今日までの分を転載した。