生きてるだけで丸儲け!
㉓ ゼンジ―北京 不思議な手品師
お笑い演芸好きの筆者は、子供の頃から「吉本新喜劇」「道頓堀アワー」「松竹新喜劇」「花王名人劇場」「てなもんや三度笠」「素人名人会」など、数限りなく見て来た。必ず途中に出て来る「色物」では、ゼンジ―北京が異色の存在だった。
マギー四郎・ケーシー高峰や、ナポレオンズの先駆者である。
まず、「チュウコクハ、ヒロシマウマレ。」と、中国人の口調で出て来る。「タネモシカケモ、チョット アル。」と続けて怪しい下手な奇術が始まる。ネタバレして笑いを取る。しかし、最後は鉄板ネタで見事な大ネタを披露して、終了する。大きな布を肩に巻き付けて前転したら、腕に水いっぱいの金魚鉢を抱えているのは、未だにその仕組みが分からない。至芸である。
客席から、客を舞台にあげて、腕にギロチンするネタも面白かった。大根をはさんで見事に切断する小さなギロチン装置に、客の腕をはさんでガチャンと落としても切れない。直前に切るまねをして、お客が恐れて手を引っ込める姿を笑いにしていた。
もちろん日本人だが、なぜか当時の中国人の感じをうまく出していた。演芸番組以外に出演しても、その様なしゃべり方を通していた。芸人根性が素晴らしい。キワモノでも、しっかりした技術の裏付けがある芸人だった。(存命です。)