生きてるだけで丸儲け
断食道場③
飯はありません。
今朝も早朝から、トレイル散歩。穏やかだが寒い空気だ。しかし、
平和な断食道場の日々に、遂に事件は起きた。
2日目の夜のヨガ教室の時である。もっとも吾輩は、ポーズは何一つ出来ず苦痛の時間である。体が硬い上に、呼吸が深く出来ない。
クラクラするだけだ。
その日の先生。ナイナイの矢部君のようなタイプ。ヨガの先生で肥満の人はいないわけだが、この先生も立派な柔軟性をうかがわせる男性である。
「宜しくお願いします。 皆さん無理はなさらないでくださいね。」と、ここまでは良かった。
「私は、無理せず生きて来ました。嫌な事はせず、好きな事だけやって生きて来ました。」と、言う。
「決して努力はしません。努力って、しんどんし、つらいし、格好良くないですよね。」
「だから、皆さんも無理せず、好きなことだけやって生きて行きましょう。」と、延々とのたまう。
会場、そうだそうだという雰囲気と、何言ってるんだという空気が半ば行き交う。
すると、後方から、「もう良いから始めろーー。」という紳士の声。確か、銀行の役員を退任し、大手IT企業にヘッドハンティングされたエリートおじさんだ。
微妙な空気の中、ヨガが始まる。「無理しないでね。」と、おっしゃる先生。無理しないと何一つ出来ない老年・中年の我々おやじ。
あっちこっちで、「うーーっ!」と、言う声。「無理せず、力抜いて。」という先生。「努力は要りませんよーー。」
先ほどの紳士。「うーーーっ!」と言いてポテンと倒れた。
そして、つかつかと先生に寄ってきて、「君、だめだよ、努力しない人間なんて。」「若い時は、苦労は買ってでもしろ。と言うくらいだ。」
「私は、君の年頃には、苦労して苦労して、だから今日の地位があるのだ。苦労しない人間は私は認めない。」
と、言い放った。会場にとても耐えられない空気が漂う。吾輩は、当然紳士の言い分に拍手。「努力しない人間は嫌いだ。」は、刺さった。
しかし、しかしだ。先生、「で、どうしましたか。」「・・・。」遂に、先生も反撃。
「私は、努力してあなたのような人間になりたくありません。ので。」
吾輩は、先生の言い分にも納得した。(泣)