山下智久主演の「正直不動産」と言うのをNHKでやっていました(今は終わっています)
※今日(14日)の午後10時に「感謝祭」があるみたいです。
テレビの不動産屋は主に分譲マンションに関わる内容でしたが、不動産屋の仕事は色々あります。
私は20年ほど不動産業にかかわったのですが、その殆どが土地なので仕事の相手は同業者・住宅会社・投資家で、一般のお客さんと関わったのはほんの少しでした。
それでも一般のお客さんの場合はかなりその人の私生活まで入ってしまう事が多かったですね。
喫茶店を経営していた人の場合。
この人は自分のビルを持ち、その一階で喫茶店をしていました。
ところが奥さんが気管支系統の調子が悪く、治療を受けたり生活を改善していたが、努力の甲斐なく一向に奥さんの症状が良くならなかった。
そこで、奥さん思いの旦那さんは、生活環境を変えて海の近くで潮風を感じる場所で生活すれば良いと思い。
土地・建物を処分して、何処か海の近い場所に引っ越したいと、ビルを売る事と新しい住居を探す事を決心し、その依頼を受けた。
これは総額で億を超えるし、個人的な依頼で仕事をするのは私と友人の2人ですから、手数料も高額なので気合を入れて、ビルの買い手と新しい住居となる土地探しをしました。
ビルは良い物件だったので簡単に買い手を見つける事が出来ましたが・・・条件に合う土地は難しかった。
和歌山・大阪南部・神戸の西部・淡路島・鳴門市・徳島市と、そのへん一帯を探しまくった。
売地はソコソコあるのですが、この夫婦と話をする機会も多く、これまでの人生の歩みやご子息との関係など個人的な内容まで話をする様になりました。
そうなると、どうしても感情が入ってしまい、移転後の生活まで考える様になってしまいます。
場所は良いが収入源を確保するのに難しいとか、海は近いが工場も近いとか、自分の事の様になってしまって、なかなか勧める物件を見つける事が出来ませんでした。
売地が有れば現地に行き、その土地だけでなく周辺の環境も自分の目で確認したし、良い空き地が有れば持ち主を調べて売る気はないか確認に行ったり。
そんな時、、、知り合いの業者からこの話とは別で土地の買い手を探していると言う話があり、その土地を確認しに現地に行った。海も近く、少し離れた所に大学も有り、アパートでも建てれば収入源も確保でき、周りは広い区画の住宅地。
あの夫婦には条件にピッタリで最高の土地だった・・・。
問題は私の手数料が半分になってしまう事だけです
ビルを売る方は両方から手数料をゲットして、仲間と山分けできたのですが、別の業者が入ると半分になってしまいます。今までの苦労は・・・と言う思いと、これだけ信頼して任せてくれている人の為にはと言う思いの戦いです。
結局は「依頼者の為」を優先し、その場所に決定しました。
予定していた土地の価格より安かったので、その分広く土地を買い二階建ての借家も建てて学生の入居が見込めて喜んでもらった。子供夫婦との距離も1時間半程度で良い感じの距離。私と仲間もそれなりに高額の収入があり、最高に上手く行った例ですね。
滅多に無いがこんな良いのも有れば 

ある70才前後の男が土地を売る件に関わった時は・・・
かかりは若い夫婦からのお願いだった。
その夫婦には私の仲間が家と土地を売った人で、その人の家に突然見知らぬ老人が訪ねて来て「隣の土地を買ってくれ」と言ったらしい。
その土地は庭の隣にあり20坪程度の空き地だった。周りは田んぼや畑で、そんな小さな土地を買う人はいないでしょう。
可能性の有るのは隣の住宅だけですから、持ち主の男の判断は間違っていないのだが・・・
若い夫婦からすれば見知らぬ男から土地を買ってくれと言われても、その土地の本当の所有者かどうかも分からない。
そこで、若い夫婦から間に入ってくれないかと。
20坪の雑種地・・・坪単価が5万円程度で、総額で100万円程度の取引です。
田舎なのでソコソコ距離も有り、何度も行き来するとガソリン代も出ない。
しかも、、、その男に話に行くと「仲介業者が入ると手数料が必要になるのでお断り」と言われてしまった。
1億でも1千万でも100万円でも仲介業者の仕事は同じです。しかし報酬は1億と100万円の土地じゃ100倍違う。
登記所に行って、土地と所有者の確認や、隣地の人に立ち合いを求めて境界の確定もある。隣地の人が多ければ簡単にはまとまらない。土地の取引なんて簡単な時も有れば、嫌になるくらい面倒な事も有る。
100万円の土地での手数料は少額です
私は仲間に言いました・・・お前が家と土地を売ったのだから、そのアフターサービスのつもりでやればと。
すると、、「頼む。あの爺さんはどうも苦手。次の飲み代は持つから・・」
確かに爺さんとはいえ身体には刺青が入って顔も強面だ。
結局は仲間の頼みと飲み代につられて引き受けてしまった
その男の家を尋ねると一人住まいで泥棒が入ったあとの様に散らかっていた。
私は「相手の人は私が間に入らなければ取引しないと言ってる。それが嫌なら白紙にしても良い」と
内心はこの人からの手数料など貰わなくてもいいので、サッサと片付けたかったのだが、その事は言わなかった。
すると爺さんは「泣き」を入れ始めた。
昔はどうこうだったが、今は落ち目で生活保護を申請する状態にと・・・
昔は稼ぎも良くて、派手に遊んだと言う話はよくあるパターンですが、とりあえず聞く事に。
ところが、、、えらそうにする癖が時々出て、聞いている私はムッとする場面もあった。
そこで、、、「相手の人は80万円(坪4万円)ならすぐに買うけど、100万円なら考えさしてくれと言ってると」
・・・これは嘘です。相手の若夫婦は100万円で買う事を納得していた。
すると爺さんは「あの辺の土地は8万円から10万円で取引されてるので、坪5万円は安いのでそれ以上は下げられない」と
私は「その価格はもっと広くて利用価値のある土地で宅地に変更できる土地、あの土地の様に切れ端状態で小さな土地の買い手は無い。このタイミングを逃すと現金に換える事は出来ない」と
もう100万円で取引して手数利用を払う事を認めさすか、手数料なしで80万円で取引するかは私次第の状態です。
この取引を相手から壊すことは絶対に無い。
この爺さんは喋り過ぎた。今日・明日のお金にも困っている状態を買い手の不動産屋にバレてしまってる。
私は 「もう手数料は要らないから80万円で行こう。それなら明日に〇〇司法事務所で取引する。必要な書類を持ってくるだけで全額支払います。それとも少額だろうが一生固定資産税を払い続けますか?」
「私だってタダ働きだが、あなたが一日でも早く現金を手にする事に力を貸してるのだから。これでダメなら私は手を引きます。」・・・これで決まりです。
私は「正直不動産屋」にはなれませんね。
20年間の不動産屋で一般のお客さんと接したのは本当に少ないのでよく覚えているし、今思い出しても懐かしい感じがします。
その数少ない中で一番簡単だったのが夜の街で働くベテランママさんの依頼だった。
これはママさんから直接の依頼ではなく、仲の良い住宅会社の社員からのお願いだった。
その社員は以前に中古住宅をママさんに買ってもらってからの付き合いだそうで、最近にママさんは相続で親が住んでいた住居を手に入れたが、それを売却して欲しいと依頼を受け買い手を見つけたらしい。
ですから本来は私の出番は有りません。
これを会社の仕事でやると、社員にとりメリットは成績アップと少額の歩合があります。
それを会社の仕事にせず個人でやると、売り手と買い手の両方から手数料が入ります。
仮に2000万円の取引だと69万円✖2で 138万円になります。
相手が飲み屋のママさんだと言う事は、日頃そこで飲み代を使ってるのでしょう。だから個人的に頼まれて、その情報が会社に流れていないのです。
ところが一人でやるには問題が有ったんです。彼は不動産取引士の資格を持っていないのと、後々に会社にバレた時に「〇〇さんの仕事を少し手伝っただけ。」と言う言い訳を用意しておきたかったのでしよう。
その「〇〇さん」が私と言う事です。
もう出来上がっている取引に顔を出し、重要事項を説明して判を押してもらうだけ。
これで手数料の半分はいただきです
まぁ、彼の為に仲介業者を記載する所に彼の名前は書きませんでしたけどね。そうする事で彼に税金はかからず私に全額の税金がかかる様になるのですけど、何も仕事をしていないのですから、、、ヨシとしよう。
余談ですが、この社員が私を依頼者である飲み屋のママさんに紹介する為に自宅を訪れた時。
昼飯と足代と言って渡されたのが、高級料亭の弁当と2万円だった。
「ラッキー
」とは思ったが・・・・
チョッと過剰です。詳しく説明はしにくいのですが複雑な気持ちになりました。
ある住宅会社のNO1営業マンと一緒に建売住宅の契約に関わった時、、、
「あまり色々と説明しないでください。」と言われました。
私の専門分野ではないので、その営業マンの指示に従い契約をしました。
その後で彼に聞いてみた 「何故、説明を簡素化するのか?」
彼の答えは明快で 「多くの知識は迷いの原因になるだけ。」
必要最小限度の説明だけでいいと言うのです。お客さんが知りたい情報は前もって相手が用意しているので、それに明確に答えれば良いだけで、それ以外に言う必要はない。こちらも何か隠れた欠点のある商品を売ってる訳じゃないと。
その考えの是非は今も分からないですね。
ちなみに不動産屋に支払う手数料ですが、その額によって少し違ってきます。
総額が600万円を超えると、その超えた額に対しては3%ですが、そこまでの額に対しては4%・5%となります。
で、簡単な計算方法だと総額が1000万円だと、、、3%+9万円となり、、39万円となります。
ですから手数料は総額の3%と思っている人が多いので、手数料の請求額を見て「アレッ⁇」と思う人も多いようです。
ただ、、、これは確定されている手数料ではありません
手数料の上限として示されているだけで、この額より低くても良いんです。
自分の方が有利な立場だと感じれば、不動産屋を相手に手数料の交渉をしてみるのも良いと思いますよ