天地を 照らす日月の 極みなく あるべきものを 何をか思はむ 

わびぬれば 今はたおなじ 難波なる みをつくしても あはむとぞ思う

脳本来の機能

2010年04月10日 | 林成之
 最高の力を発揮するには、相手との勝ち負けではなく、「過去最高の自分をさらに乗り越える」という「考え」が重要だという。
 見聞きした情報は、神経細胞に伝えられて「考え」になる。その「考え」とは、素直であるならば、「意見の違いや立場の違いを認めながら、共に生きる方法」にいきつく。それが、脳の本来の機能だからだ。つまり、「自分がよい思いをして、相手もよい思いをすることを考えること」が、脳の機能に合致している。自分と意見が違う人を拒否したり、抵抗したりすることを脳は求めていない。相手との勝ち負けも。だから、両者がいい思いをする方法を考える。もし自分と相手の意見が合わなかった場合は、たとえ「自分の意見が絶対に正しい」と思ったとしても、4日後にもう1度考えてみる。脳細胞の神経活動は3、4日たつと消えてしまう。しかし、脳が「重要だ」と判断した記憶は、消去されずに脳内に留まる。だから、4日後にもう1度考え直すと、余計なものが整理されて必要なものだけが残る。3、4日時間をかけて、ゆっくり考えることで素直になれる。そして、脳本来の機能に集中できる。時間をかけること、集中することで一切の迷いがなくなるため、それまでの自分を成長させることができる。脳は研ぎ澄まされ、神経回路を増やす。
 そして、それには具体的な目標が必要。具体的な目標がないと脳は何に対して集中してよいのか分からない。勝負でも、どんな状況でも、あくまで「自己ベストの更新、自分に克つこと」という目的意識で臨む。目的に到達するために必要な目標は何なのかを明確にして、具体策を立てて実行する。

左型アミノ酸

2010年04月06日 | 科学
 国立天文台などの国際研究チームは2010年4月6日、地球上の生命の素材となるアミノ酸が宇宙から飛来したとする説を裏付ける有力な証拠を発見したと発表しました。

 アミノ酸には「右型」と「左型」があるが、人類を含む地球の生物は左型のアミノ酸でできている。しかし、通常の化学反応では左右ほぼ等量ずつできるため、なぜ地球の生物にアミノ酸の偏りがあるのかは大きな謎となっていた。
 研究チームは、南アフリカにある近赤外線望遠鏡を使って、地球から1500光年離れたオリオン大星雲の中心部を観測。アミノ酸をどちらか一方に偏らせてしまう「円偏光(えんへんこう)」という特殊な光が、太陽系の400倍という広大な範囲を照らしていることを初めて突き止めた。
 この領域には、右型のアミノ酸を壊して地球のように左型ばかりにする円偏光と、右型ばかりにする円偏光の2種類があることも分かった。アミノ酸は地球上で落雷などによって作られたとする説もあるが、これでは両方の型が作られる可能性がある。
 国立天文台の福江翼研究員は、「太陽系はごく初期に円偏光に照らされた結果、左型のアミノ酸ばかりが残り、隕石に付着して地球に飛来したのではないか」と話している。

 アメリカ航空宇宙局(NASA)は2009年8月17日、彗星探査機「スターダスト」が採取した彗星のチリの中から、アミノ酸の一種である「グリシン」を発見したと発表しました。「グリシン」は生命誕生に欠かせないアミノ酸で、地球上の生命が宇宙からの隕石や彗星の衝突に起因する可能性が高まりました。

細胞

2010年04月05日 | 科学
 今から約137億年前の宇宙誕生直後に水素原子ができました。その後、ガスのかたまりである太陽のような天体ができ、その内部の核融合によって酸素原子や炭素原子ができました。
 核融合では、水素原子を出発点に、原子核が融合を繰り返し、大きな原子を作ります。太陽くらいの大きさの星では、元素の周期表で言えば原子番号12のマグネシウムくらいまでの元素がこのように作られます。太陽の10倍くらいの大きさの天体になると、星の内部の核融合によって原子番号26の鉄まで作ることができます。
 太陽の10倍以上の大きな天体は、燃え続けた末に、「超新星爆発」という大爆発を起こして一生を終えます。超新星爆発の巨大なエネルギーによって、鉄よりも重い元素が作られると考えられています。こうした重い元素は、「星の死」によって作られるのです。たとえば、人間の甲状腺ホルモンの合成に必要なヨードは、鉄よりも重い元素ですから、超新星爆発でできたものです。

 約46億年前、宇宙にあったガスや岩石などが集まって、地球が誕生しました。その頃の地球の大気には、窒素、一酸化炭素 、二酸化炭素しかありませんでしたが、他の元素を含んだ隕石が衝突し、それらがその衝撃の条件下で化学反応を起こし、生命体の源、アミノ酸ができました。海の底で、20種類のアミノ酸が高い圧力で結びつき、たんぱく質になりました。

 このような形成過程を仕組みとして記憶している細胞60兆個から成るのが、私たち人間です。

60兆ひとつひとつの細胞はみな等しく、遺伝子に30億の情報を刻んでいます。それぞれの細胞は互いに連携し合い、遺伝子の指令に従って各部位に分裂、増殖していきます。

 生物の原子組成は、海水のそれと似ています。原始生命体は、原始地球の海において、海水に溶けた有機物の化学進化を通じて生じたと考えられています。アリストテレスは『動物誌』で、詳細な観察結果から、「ミミズやウナギは泥などの無生物から自然に発生する」と著しました。その後、顕微鏡の発明により肉眼ではわからない部分が観察できるようになると、すべての生物が細胞からできていることがわかりました。

 ヒトの場合受精すると、胚は約2週間で分化を始め、約8週間たつと組織を作るための役割分担(分化の方向づけ)をほぼ終えます。これ以後、胚を胎児と呼び、各部位の細胞はそれぞれの組織に分化していきます。
 人間の神経核は他の哺乳類の4倍。人間の本能と他の哺乳類の本能は違います。細胞のひとつひとつがみんな自分が生きたいとか、まわりの細胞と仲間になりたいとか、情報を知りたいという機能を持っています。ひとつひとつの細胞から本能が生まれています。
 生まれたての赤ちゃんの細胞は30兆。赤ちゃんは生まれるとまず、自分を守りたい本能から泣きます。抱いてくれたり、お乳をくれるお母さんを好きになります。この自分を守りたいという本能と仲間でありたいという本能とがうまく合わないと、考える仕組みが動き出し、違いを認めて、ともに生きる考え、愛が生まれます。

左右、男女

2010年04月05日 | 科学
 一般に、生き物は下等動物ほど生命力が強く環境を選びません。にも関わらず、人類ほど地球上のどこにでも生息している高等動物はいません。人類の祖先の猿は、500万年前にアフリカを出て、サバンナの大地へと進出しました。その結果、人類はいろいろな機能を獲得しました。大脳は爆発的に発達し、二足歩行、コミュニケーションをとるための言語能力。つまり、どの様な環境であろうと、それに適応できるように、神経ネットワークを作り替えることができる機能を獲得したと言えます。

 動物は左脳に複雑なシナプス回路のシステムを持ち合わせていません。それは言語をもっていないためです。人間の出生したての赤ちゃんの脳も未発達で、情報処理は動物レベルです。左脳と右脳を分け隔てている脳梁 (左右の大脳半球の皮質を連絡する神経繊維の集まり)ができていないため、赤ちゃんの脳は成人の右脳の働きしかしていない状態です。母親から言葉を聞き、母親の表情を見て脳梁をつなぎ、言葉の意味を覚えていきます。
 人間は左脳が右半身を担当し、右脳が左半身を担当しています。言語脳が左脳に形成されることにより、左脳と連結する右半身が左半身より先に自由が利くようになります。したがって右手の反応が早くなり、右利きとなる個体数が大多数を占めます。脳梁が発達すると言語脳と利き手の関係は低下します。左利きは、統計学的に女性に比べ男性のほうに多く見られます。これは、女性の方が左脳の言語野が男性に比べ早く形成されるため右半身に与える影響が大きくなるためです。
 女性の脳は赤ちゃんを育てるための言語能力を右脳から引き出すのが得意で、男性の脳は狩猟に必要な方向感覚や空間認識を右脳から引き出すのが得意です。

 肉体的性別は受精の時に遺伝子により決まりますが、脳の性別である「男脳」と「女脳」が決まるのは、母親の胎内にいる時です。これは生まれてからの環境や努力、外的な行為によって変わることはありません。胎内での脳は、受精後しばらくは男性も女性も「女脳」です。性器に関しても原型は同じで男女どちらにも発達できるようになっていて、胎児は「女」が基本形です。受精後6~8週間位から男胎児は精巣(睾丸)が形成され、男性ホルモンの「アンドロゲン」を分泌するようになります。その後、12~18週あたりになると胎児の大脳新皮質が巨大化してきますが、ちょうどその時に胎内ではアンドロゲンの分泌がピークとなり、シャワーのように胎児の脳に大量に降り注がれます。このアンドロゲンシャワーによって「女」の脳だったものが「男」の脳に変わり、胎児は男性へと性分化が進むことになります。女胎児は精巣が形成されないので、アンドロゲンの量も少なく、女脳のままで女性性器が形成されていきます。

幹細胞

2010年04月04日 | 科学
 幹細胞 身体の組織をつくっている細胞を生み出す母細胞。分裂によって、自分と同じ幹細胞と、特定の役割を持つように分化して組織を構成する細胞とを生み出す。このような幹細胞の分裂を繰り返すことで、組織は常に新しい細胞を生み出している。よく知られているものでは、骨髄にある造血幹細胞(骨髄幹細胞)、皮膚の幹細胞、神経幹細胞などがある。造血幹細胞を例にとれば、自分の複製をつくりながら赤血球や白血球などの血液細胞をつくっている、ということになる。

 ES細胞 胚性幹細胞。胚を形成する細胞を生み出す母細胞。動物の初期胚(分裂を始めたばかりの受精卵)の中にある細胞を取り出し、培養して得られる。各々の細胞・組織をつくる幹細胞をつくる胚を形成させる幹細胞。活発な増殖力と人体組織への分化能力をもち、培養の条件によって単に増殖したり、又は特定の細胞に分化したりする。胚が子宮に着床する直前に取り出した細胞からつくるので、ES細胞を子宮に戻しても再び胎児として育つ能力はない。

 iPS細胞 胚からではなくヒト本人自身の皮膚などから、細胞を取り出して単離培養し、分化万能細胞にしようとするもの。この技術が確立されれば、拒絶反応の無い移植用組織や臓器の作製が可能になるが、どこまで幹細胞と同じ能力をもつかは疑問。ヒトES細胞の使用において懸案であった、胚盤胞を滅失することに対する倫理的問題の解決には繋がる。