大空を見上げて

日頃感じていること

夢は映画スター

2009-03-12 | Weblog
 私の人生で若い頃、映画のエキストラを経験した事がある。
確か21才頃、当時私は空挺隊員として千葉県習志野の第一空挺団普通科群第3中隊に所属していた。
ある日所属中隊長より、私以下数名の隊員が東映の映画撮影の為協力せよと命令を受けた。

東映の俳優が駐屯地に3週間泊まり込みで行動を共にするとの事。
映画の題名は「第八空挺壮烈鬼隊長」マキノ監督、俳優は高倉健、佐久間良子、江原真二郎、梅宮辰夫、南廣、星美智子、今井健二など当時では誰もが知っている有名な人気俳優である。
私達はスタントマン兼エキストラとして毎日行動を共にし、高倉健、梅宮辰夫や江原真二郎又今井健二と親しくなり昼は食事を隊員食堂、夜は部隊の近くの飲み屋に俳優、スタッフの方々とよく行った。
撮影は空挺の訓練(着地、操縦、飛び出し、レンジャー訓練、徒手格闘、射撃、体力向上運動)等実演指導。
そして実際に飛行機(C-46)又はヘリに監督、俳優、カメラマンと乗り込み機内の動作を撮影、飛び出す直前までは俳優の今井さん、江原さんがやりその後の飛び出しとスカイダイビングは私達隊員でやった。
その後静岡の富士の裾野に撮影が移動輸送機延べ20機にて1500名の空挺隊員が青い大空に白い落下傘の一面花を咲かせる見事な場面を撮影した。

私はカメラの前でいろいろな戦闘場面等完全武装で一生懸命頑張ったがヘルメットをかぶっているので顔は当然映らない!
でも私はその頃内心本気で、もしかしたら認められて声がかかり俳優の道にいけるかも知れないと、撮影の朝は念を入れて歯を磨き顔にクリームを塗って綺麗な空挺服、首に緑のマフラー、ピカピカの空挺靴と気を使っていた。
そして何回も鏡にて全身を確かめ「顔もスタイルもマァーマァーだ!よし!」と自己満足しスターに成れるかもと張り切っていたと思う。    
もしそのような話があったら、すぐ自衛隊を退官して映画スターの道にと今考えると恥ずかしいのだが結構本気だった様な気がする。
     (能天気だねぇ…という妻の声が聞こえてきそうだ)

最後のラストシーンは航空自衛隊木更津の飛行場の滑走路にて空挺団あげての協力、空挺服に鮮やかな緑のマフラーに正装した隊員2500名が整列、空挺団長役の高倉健さんが空挺服に一佐(大佐)の階級を付け、観閲官として壇上に上がりその前を音楽隊を先頭に大行進。
空に輸送機やヘリコプターが編隊を組んで大掛かりな撮影で無事撮影も終了。

私の希望も空しく、願ったような話も何もなく俳優やスタッフの方々と打ち上げで酒を飲み肩を組んで握手して別れた。
私の儚い夢は霧のかなたに消えていった。
この映画が六ヶ月後全国東映系で一斉に封切られた。
私は東京の丸の内の映画館に友人達と観に行った。
とても面白かったが、私が出たシーンで私の顔は一瞬写ったがほとんど身体は私なのだが顔は俳優の今井健二さんだった。
もしかして もう少し運があったら映画の大スターになれたのかも!残念
   
         (写真:壮烈鬼隊長一場面!青い大空に花が咲く)
      
コメント
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