以前のブログで、旧ノグチトランスの出力10Wのシングル用出力トランス(おそらくPMF-10WS)の音がよかったというのを載せましたが、少し気になっていましたので、手持ちにある旧ノグチのPMF-20WSという20Wのユニバーサル出力トランスの周波数特性を測定してみました。
また、測定に当たり、以前測定していたTANGOのXE-20SとH-5Sの特性と比較してみました。
自作真空管アンプマニアならすでにご存じと思いますが、もうノグチトランスはなく、ゼネラルトランス販売株式会社という会社が事業を引き継いでおられます。
そしてこのゼネラルトランスのホームページをみると、出力トランス PMFシリーズ のところには、PMF-20WSは見当たらず、PMF-20WS2(以下、20WS2)という新機種がお目見えになっています。
20WS2の特性表は、ここから確認できます。早速アクセスすると、「旧PMF-20WSも製作可能です。」と記載があることから、まだ完全にPMF-20WSは廃盤になったわけではなさそうです。
では旧機種と何が違うのか確認してみると、トランスの2次側配線に”緑”の線が追加になっており、2.5kΩ時の動作で16Ωのスピーカに対応した巻線が追加になっているようです。2次側巻線が少し追加になったということなのでしょうか。
周波数特性の測定については、下記のような回路で試してみました。
どのトランスも、1次側5kΩ、2次側8Ωで計測しています。そのため、1次側には約5kΩの抵抗を追加し、インピーダンスの不整合が起こらないようにしています。もし、この5kΩを入れていなかったら、恐らくかなりフラットな特性になっていると思われます。また、回路図を見てのとおり1次側にはDCは流しておりません。
測定結果は下記のようになりました。
赤色の曲線が、PMF-20WSで、濃い青がTANGO XE-20S、薄い青が同H-5Sになります。測定結果のグラフは、1kHzの計測電圧を基準に正規化し0dBとしています。
PMF-20WSは、なかなか健闘しております。まず低域特性は、XE-20SよりもよくH-5Sよりほぼ同じか少し下がるかなという程度です。逆に案外、小さなくせにH-5Sの特性がよいことにびっくりします。
そして高域ですが、どのトランスも可聴帯域の20kHzよりもはるかに特性がよく、PMF-20WSで50‐60kHz、H-5Sで70‐80kHz、XE-20Sで100kHz以上となっていますが、XE-20Sは高域で少しふくらみがあります。
一方、PMF-20WSはなだらかに下がっていくタイプで、こちらの方が素直でよいのではと思います。また高域側でもH-5Sが健闘しており、小型なのにすごいトランスだということがわかります。
計測にあたり注意事項ですが、TANGOの2つのトランスの測定は、オシレータが変わる以前に測定したものなので、オシレータの特性でどう変化があるのかはわかりません。古いオシレータの場合は、内部抵抗が恐らくは600Ωほどあると思いますが、計測回路は同じです。
PMF-20WSについては、まだアンプに実装して音の確認はできておらず、どんな音色を奏でるかは分かっていませんが、特性結果からはかなり期待が持てそうです。
それほど値段は高くないのに、良い音だと確認できれば、どんどん利用した方がよいと思います。今後アンプを製作して音質の確認もしたいと思います。
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