不来庵書房 裏庭倉庫

不定期更新・内容雑多・未確認情報散在
基本的に、小生の琴線に触れたニュースを集めただけです……
雑記・雑感も少々。

『三体』全巻一気読破

2021-06-08 | 書評
このほど完結した劉慈欣『三体』シリーズを一挙読破しました。大体5時間くらい。

日本のSFで1番近いのは、小生の見るところでは光瀬龍『百億の昼と千億の夜』ですかね。



『百億の〜』は思弁的な描写が多いので、SF度合いは薄めですが。

さて、『三体』日本語版は全部で5冊。



ヒューゴー賞に相応しい作品ですし、若干女性の造形が甘いのは洋の東西を問わないSFの宿痾だと思うのでそこはある意味仕方ないです(特に2人目の主人公の妻になる女性が、まるでモテない理系かつヲタク系男子の妄想そのものなのがまあご愛嬌)。主人公格の三人が全て中国人ですが、これはもちろん中国SFですから当然。その他の登場人物が中国人ばかりと言うこともないので、アメリカ育ちの華人4世あたりが書いたとしても違和感ない感じです。

SF的要素を抜いても多分、中国文学として金字塔を打ち立てたと言って良いでしょう。
絶賛する方が多いのも納得ですし、『ファウンデーション』シリーズや『2001年宇宙の旅』シリーズと並べてもさして遜色ない傑作だと思います。

異星人の性格や行動が些か低劣、と言う声もアマゾンの書評で目にしましたが、まあ文明が進んでいるからといって地球人的尺度において民度の高い民族になるかというとさにあらず、なのは世界史をかじった方ならご存知の通り。
人類と敵対する宇宙人は意外に近くの星系に住んでいますが、そりゃ種族まとめてああなるよなぁ、な過酷な環境で、種族には何ら責任のない特有の事情によって文明崩壊を数多く繰り返して進歩した種族ですし。
超絶的な種族(魔法と見分けがつかないような科学で、恒星系など小指一本で滅ぼしてしまうような)は意外にあちこちを彷徨いていますが、何というか色々な恒星系に発生する知的種族を畑の害虫くらいにしか捉えていないようです。

ただ、手放しに褒め称えられるかと言うと・・・・・・
小生がこれまで読んだ中で1番読後感が近いのは
です(流石に『資治通鑑』原本を素読できるほどの漢文の素養はないです)。
率直にいえば、筆者は何処かで人類の悟性や善性、あるいは宗教的救済に対し、素粒子どころかクォーク1個ほどの信頼も期待も置いていないんだなぁ・・・・・・・と。
同じ設定を思いついたとしても、西欧人や日本人には絶対に書けない作品ですね。
(欧米文化で育った白人なら恐らく一神教的救済を何処かで意識するだろうし、現代日本人は何処かで全ての人間や宇宙人は本質的に善だと信じている)

多分、今のところ作者・劉慈欣氏が当局に逮捕されたという報道はないので、中国共産党はこの小説を認めたと言うことになります。
全ての文芸活動が直接政治的意味を持つ中華文明において、このことが持つ意味は極めて重大です。

ディストピアだよなあ。
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小池知事ドヤ顔「8時だョ!」ドリフこじつけ発言が大炎上!都のポスター担当とんだトバッチリ

2021-06-08 | にゅうす
官僚系の知事だとこういう発言や行動は多分しないんでしょうね(他の道府県を見る限りにおいて)
その代わり、役人臭がきつくて「血が通っていない」「原稿棒読み」などと批判されたりもします。

東京都知事は青島幸男氏以降、有名人が当選するポジションになってしまったので、パフォーマンス重視な方が続いているのが何とも言えません。
(石原慎太郎氏はまだ政治家経験長めなので外から見るとマシに見えましたが、都庁内部からだと全然違うんでしょうね)

都庁広報関係のポスター制作スタッフもやり切れないでしょうねぇ・・・・・・


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「経営上の危機に直面している」ツイートに反響資料館への寄付1750万円に

2021-06-08 | にゅうす
まあこれは、移動制限下では当面仕方ないかなと思います。
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エーザイ株が急騰アルツハイマー型認知症治療薬承認で買い殺到

2021-06-08 | にゅうす
本当に効き目があるなら、安価に投与して欲しいなあと思います。
個人的にもちょっとボケ気味な兆候が(笑)は、ともかく、父母がややボケ気味なので・・・・・・

という家庭の事情はさておき、全国で介護に疲れる一般家庭の方々のご苦労や、介護現場での労力が多少なりとも軽減されるといいなあ、と思います。



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「自分の頭で考える」ことの罠

2021-06-08 | Weblog
色々陰謀論だ何だと囁かれる昨今、何故にそんなに断言できるのかなぁと思ったりです。

「自分の頭で考える」ことについて、小生自身の基準をば。

◉「自分が建てたロジックを100%信用しない」
数学の証明問題などもそうですが、自分で問題を解いていくと複雑で難しい問題程どこかで
・論理の飛躍
・条件の誤認
・証拠や論拠の解釈ミス
何かしら錯誤があるものです。

◉「自分が誰かの考え方に影響されていることを素直に認識する」
本当に100%独創的な発想ができたなら、それをきちんとした論文にまとめられれば少なくとも博士号は取れます。ひょっとしたらノーベル賞やそれに準ずる賞を取れるかもしれません。
世に言うではありませんか、「貴方と同じことを考えている人は世の中に三人はいる」と。
あるいは、「やんきぃ」「ぱんく」「をたく」「おしゃれ」な御仁がそれぞれ自分では強烈に個性を出しているつもりだというのに、世間からは判で押したような没個性的量産型にしか見えない姿形をしていたりする現象は、誰しも思い当たるところがおありではないでしょうか。
厳密に考えるなら、何処の誰の意見に影響されているかまで精確に認識すべきですが、流石にこの情報洪水の中では中々困難です。

◉「世の中に“本当に”隠された事実はそこまで多くない」
まあ、現代社会では提供されている情報が滅茶苦茶な分量だったりしますからねぇ。正しく情報洪水。
特に情報公開に積極的な欧米だと、公開情報を一通り当たるだけで一苦労だったりします。
そもそも、一般人や一介のジャーナリストが嗅ぎ付けられる“世界の真実()”など、事実上無視しても大過ないくらいには多寡が知れたものです。

◉「自分とは立場や意見の異なる記事を読む」
多分、意外にできてない方が多いんじゃないかと。
朝日毎日読売産経、全部読む習慣をつけるとか、まあそういった類です。
よく外国記事を読むと良い、などと言われていますが、実は日本以上に気合を入れて角度をつけた記事も多々あるので、更に陰謀論の泥沼に進んで入り込む方々もおられたりしますから、読み方次第ではあります。

◉「記事の著者のバックグラウンドを考慮する」
例えば、当然ながら民間企業の従業員が勤務先に不都合なことを書くことは通常ありえないですし、もし勤務先を批判するなら他の動機があるものです。
また、普通の医師が現代標準医療以外の治療法を勧めることはないはずです。もしある医師が所謂代替医療を勧めるようなら、何らかの背景を考えるべきでしょう。
そして、ある国の教育を受けて育った人間にはそれなりの視点の偏りが必然的に生じます。例えば日本についての外国人の発言は、正負いずれの方向であるにせよ大なり小なりの偏見が含まれるものと承知しておくべきです(当然日本で生まれ育った日本人にも、海外についての発言には意図するしないに関わらず何がしかの偏見があります)。

◉「定説にはそれなりの根拠と証拠がある」
それはまあ、科学とは定説がひっくり返されてきた歴史には違いありません。
しかし、誰もがガリレオやコペルニクス、ガロア、ゼンメルワイスであるわけではありません。
所謂悲劇の天才がなぜ語り継がれるかといえば、そのような天才は正しく例外であるからに他なりません。

◉「この世の絶対的正義は神のみぞ知る」
まあそもそも神の正義を執行すると称する人物が起こす行動は、ヒトの目からは彼の意思で行っている以上、神の正義と真に同一とは言えないわけで。
ひょっとしたら本当に執行人と称する人物には人間としての自由意志が一欠片もなく、純粋に神の意思によって遠隔操作されるだけのゴーレムかロボット・アンドロイドなのかもしれませんが、信仰の浅い者あるいは不信心者から見た場合執行人の行動は、彼/彼女の自由意志と何の違いもありません。
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