結婚した年のみどりの日に買ってきた幸福の木がある。
初めは40センチくらいの大きさだったのが、
ヒョロっとしながらも1メートルは裕に超え、大きくなっていた。
それが、この春先から元気をなくし、下の葉からどんどん黄色くなってしまった。
数日ごとにその黄色くなった葉を取りながら、
夫婦生活の終わりを知っているかのような幸福の木に、何とも言えず、申し訳なく思っていた。
この子(幸福の木)がまた、元気になったら、もしかしたらまだ可能性があるかも、
なんて思ったりしていたが、
今日、思い切って、まだかろうじて葉を茂らせている上部だけを切り取り、花瓶に生けた。
そして、鉢を処分しようと茎を掘り起こした。
すると、自分の想像していた以上に、幸福の木はしっかりと根を張り広げていた。
根っこを切り落として植え替えしてやらなければならない時期だったのかもしれない。
しかし、時すでに遅し。
後悔はしていない。
あとは、前を向いて、花瓶に生けた命のその生命力を信じるだけ。
元気になってくれれば、また鉢を買って植えてやろうと思う。
それにはなんの願もかけたりしないし、必要もない。
生命を愛おしむ気持ち、ただそれだけ。