福 風

心にとまった物や想いを集めて。穏やかな風が吹きますように。

熱くて飲めないおいしいカフェオレ

2008-01-30 | 外出




試験を終え、頭も体もどぉ~っと疲れたその日の夕方。

明日は2ヶ月に一度の父の通院日。
自宅に帰ることなく、試験会場であった高松から松山へ向かうため、最終の高速バスを待っていた。時間まであと2時間はある。

知らない街ではあるし、荷物はあるし、何よりクタクタに疲れていたので、できればひと処で時間まで過ごしたかった。
でもお茶だけで2時間も居座ることができない性質なので、まずは早めの夕食をうどん屋さんでいただいた。ゆっくり食べたつもりでもせいぜい20分くらいだったと思う。
また、ガラガラとキャリーを引きずって商店街を歩く。

いわゆるチェーン店のコーヒーショップは苦手。席と席の距離が近いし、何よりおいしくない。
かといってインテリアの凝ったモダンな店も、どうも居心地が悪くて落ち着かない。
普段使いはしないような綺麗なカップに入ったお茶を飲むのは心が豊かになるので、雰囲気のある落ち着いた感じの喫茶店が好きだ。
疲れているくせに、妙なこだわりでいわゆる純喫茶を求めて歩いた。
そして、見つけたのがこのお店、南珈琲店

階段を2階へと上ると、カウンターとテーブル席が並ぶ、ナチュラルな感じの内装に、喫茶店らしいちょっと落ち着いた柔らかな照明。
カウンターには何人かの常連客らしきおじさまたちがそれぞれの時間を過ごしていた。

カフェオレを注文し、時間潰しのための雑誌を選んで、腰を落ち着かせる。
しばらくして、温かな湯気の立ち上るカフェオレが運ばれてきた。

ひとくちふくんで驚いた。
ものすごい熱い。熱くて飲めない。

生まれて初めての、熱くて飲めないカフェオレとの感動的な出会いの瞬間だった。

時間つぶしがしたいという状況であった私にとって、その熱くて飲めないカフェオレはこの上ないご馳走となった。
雑誌を読みながら、折をみてカップに手を延ばすのだが、まだ熱い。
特に猫舌な訳ではないけれど、飲めない。ちょっとずつすするのが精一杯だった。

ゆっくりと雑誌を熟読しながらカフェオレをすすり、
雑誌を読み終えるまでカフェオレはその温かさを保っていた。

砂糖を1杯溶かして飲んだが、コーヒーの香りもちゃんとしてまろやかな美味しいカフェオレだった。今まで飲んだことのあるカフェオレは、運ばれてすぐでも飲めるくらいの温度が大半だったが、長くゆったりとした時間を過ごしていながら、最後まで冷めないカフェオレをいただいたのは初めてだった。

支払いのときたまたまウエイトレスの女の子がいなくて、カフェオレの製作者、マスターがレジに立った。

美味しかったことを伝えたくて、「アツアツでおいしかったです。」とマスターに告げると、ニコッと微笑んで「ありがとうございます。また、お越し下さい。」と言葉を返してくれた。最後に驚いたのが、カフェオレなんと300円(だったと思います。間違ってたらごめんなさい)。身も心も幸福な時間を過ごすことができた。

ひとくちに珈琲といっても、飲みたい人が10人いれば、おいしいと思う珈琲も十人十色。求める理想とピッタリ合ったお店との出会いは、ありそうでなかなかないことかもしれません。

もしも、高松に行く機会があれば、ミシュランで言うところの遠回りしてでも立ち寄って欲しいお店。商店街の中にあり、入り口の間口が狭いので分かりにくいかもしれませんが、是非。







 


 


壊された錠前

2008-01-30 | 外出



分厚い参考書3冊入りのキャスター付きキャリーケースをガラガラと引きずって宿に到着。

一息つき、さて荷解きしようとしたら・・・。

あ~~~~っ!鍵、中に入れたままやった~~~~!

ケースの中に鍵を入れたまま、錠前をロックしてしまったのだ。
どーしよー・・・。

しばらく考えてから、フロントまでガラガラとキャリーケースを引きずっていき、
事情を説明して工具を借りようと思ったのですが、事足りるだけの道具がなく断念。
するとフロントの方から、近くの合鍵屋に行ってみてはどうかと提案を受け、
またガラガラとケースを引きずり見知らぬ街中を歩く。

店に到着し、事情を説明すると、靴を修理する手を休めることなく店員さんが、
「うちではそういうのやってません。あくまでも鍵から鍵を作っているだけですから。」と言う。ごもっともな回答でございますが、願わくばもうちょっとだけ愛想よく返して欲しかった。

次は、どこかホームセンターを探して道具を買うしかないなと考えながら合鍵屋を出ると、程なくして目の前に交番から出てきたお巡りさんが!
見つけるや否やお巡りさんに声をかけ事情を話したところ、「ガソリンスタンドとかやったら大きなニッパーがあるんやけどなぁ。」と言って、場所を教えてくれた。
そこから歩いて20分かかると言われ、その遠さにひるんだけれど、背に腹はかえられぬ。

見知らぬ町の人通りの多い商店街の中を、ガラガラとケースを引きずって歩く。
大きな通りの角っこにあると教わった、そのガソリンスタンドに到着。
辺りはもう暗くなっていた。

給油している車のリアガラスを拭いていた店員さんが気付いてくれた。
「お忙しいところ大変申し訳ないのですが・・・。」とここへ来た経緯を話すと、
事情を理解してくれ、ピットから持ってきた大きなニッパーで壊してくれた。
金にならない客なのにお時間とらせてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
私に出来る精一杯のことは、大きな声で親切へのお礼を伝えることだけだった。
もし、車で再び訪れることがあったなら、必ずここで給油しようと思う。

ここのところ、人騒がせなことをしでかす事が続いている。反省。





街の移り変わり

2008-01-30 | 外出



先日松山へ帰省したとき、松山一の繁華街、大街道を歩いた。
まず驚いたのが、大街道の入口にあり、待ち合わせのシンボルとされてきたラフォーレ原宿が閉館していたこと。
雨降りの平日だったこともあったが、火が消えたように寂しい印象を受けた。

学生の頃見つけた、ちょっと古くさい内装ではあるけれどそれが妙に落ち着く居心地のよい喫茶店があり、久しぶりに行こうと探したがもうなくなっていた。

いわゆる昔ながらの店構えの店舗は、めっきり減ってしまい、
残っていたとしても、購買意欲をそそられるような存在ではなくなっている。
地方の衰退が取り上げられているが、仮にも四国一の人口を誇る松山には関係ない事と思っていたのだが、例外ではないのかもしれない。