こちらの写真はレポート3で紹介した、加工途中のアブラギリ材 ↓
この材は、反ったり、焦げたりと手間はかかりましたが、ついに生まれ変わりました。
抽斗の取手へ変身!
取手下には掘り込みをして、手がかかりやすいようにしてあります ↓
抽斗の前板は屋久島産地杉です。
赤身の地杉に、白色系のアブラギリ材を配して、取手が際立つようにしました。
今回のように、反りの大きなアブラギリ材でも、このように単独の取手と活かせば十分に家具材として使うことができます。
取手以外の、アブラギリ材の活用例として、「ハシバミ」加工に使いましたので合わせて今回紹介します。
ハシバミ(端ばみ)とは、無垢板の反りや狂いを防ぐため、板の繊維方向に対して直交するように、
同じ板厚にした棒状の部材を木口に嵌め込んで取り付ける方法。
今回は、杉材のキャビネット天板や棚板の端に、アブラギリ材をハシバミとして取り付けてみました。
クランプで固定しているところ
本当は、当て木をした上からクランプするのが良いのですが、省略しています。
写真のように、直にクランプすると、材料にクランプで締めた跡が残ることがあるので注意です。
こちらは当て木をしてクランプしているところ ↓
クランプ一本で済ませていますが、本当は両サイドに一本ずつあると良いです。
この杉材は、一度、乾燥させて保管してあったものですが、台風10号の時に濡らしてしまい、
その後、十分に乾燥させないで加工に入ったためか、板剥した後に反りが出てしまいました。
そのため、その反りを矯正するために、写真のようにクランプをかけて、ハシバミを取り付けているところです。
これはハシバミをした、キャビネットの天板 ↓
天板は、3枚の杉板を、板剥ぎしてあります。
白い真ん中が白太、両サイドの赤茶色の材が赤身です。
このように濃淡をつけることができるのも杉材の魅力ですね。
福島木工家具店では、主に屋久島産の地杉を利用した家具制作をしていますが、
このように、同じ屋久島産の広葉樹を組み合わせることもしています。
今回作っていたものは、コチラ ↓
事務所兼ショールームに、椅子などの展示と保管ができる棚。
仕事場の事務所用ということで、アブラギリ材を試験的に使ってみた次第です。
今回の製作は、シーズニング不十分、また、先ほど書いたように一度濡らした材の乾燥も不十分の突貫工事でした。
自家用なのでこのような荒い制作をしましたが、お客様の場合はものすごく慎重にしています。
こちらの写真は、制作後に大きく板材が縮んだところ ↓
東の窓側で、日がよく当たり、杉材の天板が縮んで、さらに下方向に反りました。
短期間(つくって10日くらいかな)に、ここまで大胆に狂うのは珍しいです。
ハシバミとしてのアブラギリ材には、縮みや狂いは今のところ出ていないようです。
無垢材の家具は、直射日光の当たる場所での使用は避けた方が良いです。
やはり太陽光は無垢材にとっては強烈です。
また、冷暖房の送風が直接当たるような場所でも、無垢材は反ったり、狂ったり、割れたりすることがあります。
このように、取り扱いには色々と注意することがありますが、
無垢材で作られた家具というのは、その存在感、質感、手触りなど、
五感で感じることができる魅力があります。
私はこの魅力にどっぷりと浸かってしまったために、日曜大工や趣味の範囲を超えて、家具職人となってしまいました。
大変な仕事ですが、毎日、木と向き合えるのは幸せです。
レポートしてきたアブラギリ材ですが、現在、あらたなモノづくりに挑戦しているところ。
先日、お知らせした、木の日のイベントで販売できる製品に仕上げていきたいと思います。
「アブラギリを活かそう」 まとめ レポート1 レポート2 レポート3 レポート4 レポート5
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