今日は今季最低に気温になるという。
確かに外の空気も景色も寒々と感じる。
最近は徐々に気温が下がったかと思うとまた少し暖かくなったり・・・
全国的にも日によって外気温の差が大きくなっているようだ。
晩秋を過ぎてもなお県道沿いの銀杏並木や近くの神社や寺、また民家の
庭などに紅葉、黄葉の名残が見られるが、公園の木々の様子などからも
確実に冬の到来を間近に感じるようにもなってきた。
昨日、完全に葉の落ちた木の上の方の細い枝の間に野鳥の巣が見えた。
いろんな角度から見るとどうやらヒヨドリの巣のようだった。
この時期はすでに成長したヒナが飛び立った後の空っぽになった巣だろう。
子供の頃に野鳥の巣を見つけるとたまらなく嬉しかったことを思い出す。
私は大小さまざまな松林が並ぶ海岸の近くで育ち、そこには野生の鳩が
沢山の巣を作っていた。
近くには松以外の木々の小さな林もあったが、他の野鳥の巣はなかなか
見つからず、海岸からは少し離れた小学校へ行く途中の雑木林などへ
友達と一緒に野鳥の巣を探しに行ったことも懐かしい。
巣を見つけても決して卵やヒナを捕ったりはせず、友達と交互に
巣の様子を見るだけなのだが、見つけた巣に何度も通い、親鳥の行動を
気にしながらヒナの成長を見るのが楽しみだった。
そのわけは私たちの行動を見た大人たちが言ったことを本当だと信じて
約束し、私たちはそれを不文律、暗黙の了解として決して破ることが
なかったので友達との強い絆も結ばれたのだと思う。
それ(大人が言ったこと)は巣を見るのは良いが、卵はもちろん、
巣にも絶対に触っちゃいけないということだった。
それは人間の匂いが付くと親は巣に戻ってこなくなり、卵もヒナも
死んでしまうから・・ということだった。
科学的な根拠などがあるのかどうかもわからなかったが、その当時は
それを信じて鳥たちや私たちのため絶対に触ったりはしなかった。
昨日見つけたのはあまり歓迎されないヒヨドリの巣・・・
木に登り、確かめることはしなかったがその形から間違いないと思う。
ヒヨドリの卵は薄紫や薄い茶色の殻に茶褐色の斑点が混じったものが
多かった。
鳩は木の細い小枝などを重ねて作る簡単なもので、深いくぼみなども
ないため、親鳥が飛び立ったり巣に戻ってきたりする時の揺れなどで
卵が転がり落ちないかと友達と心配したことも多かった。
木の花やその蜜を狙い、実を独り占めするようなヒヨドリは農家からも
嫌われているようだが、ヒヨドリはその姿に似合わないようなきれいで
丁寧な巣を作ることにも感心する。
特にヒナが育つ巣の内側にヒヨドリの「子を思う親の優しさ」を感じる。
昔からヒヨドリは一ノ谷の戦いで知られる鵯越(ひよどり越え)や
小説「ひよどり草紙」やヒヨドリの名の付く公園などもあるように
身近に感じる野鳥だったようだ。
富山県の砺波市の市の鳥としても指定されているようだ。
昔は渡り鳥だったヒヨドリが留鳥になり、私が育った富山県の氷見市でも
たくさん見られた。
そして鵯越と言えば・・神戸に住む私の姉の家は鵯峠からそれほど遠くない
位置にあることも鵯に結び付けると面白い。
餌の少ない時期に訪れる野鳥たちの動きを見るのも楽しい。
枝の間を忙しそうに動き回るシジュウカラ、ジョウビタキの胸の色、
人懐っこいような動きをするセキレイ、ツグミの凛とした姿にも
一部では嘘がまかり通る人間界とは全く無縁の素直な姿を感じることが
できるのも清々しく感じ嬉しい限りである。